【銀魂】 吉原の遊女と鬼の話。

ついた嘘。 ページ17

「女に手を上げるたァ、情けねー野郎だな。」

「ああ？」







こぶしを握られたままの男。
もう一人が、どこの隠し持っていたのか短刀で、
わっちたちのほうへ突っ込んでくる。







それも、
わっちを守ったまま難なくよけて。







「・・・っ！何だてめえは？」









「真選組副長、土方十四郎。
傷害の現行犯でしょっ引く。」







真剣な、鋭い瞳。



その名前を出しただけで、
男どもはしゅんとおとなしくなる。









問題は、瞬く間に片付いた。




けれど。








「・・・・平気か？」









そう言って、抱きよせた手を離すこいつはなんで、









「・・・・・なんで、ぬしが・・・・」



墓場で、わかれたはずなのにここにいて、







「ほうっておけばよかったものを・・・
いまさらあんな男どもに何かされたところでわっちは・・・・」









なんで、汚い女とさげすんだわっちを、たすけた？









「勘違いすんじゃねえ。
これは仕事だ。

見回りの最中、殴られそうな女がいたから助けた。

不本意だが、遊女だろうが誰だろうが警察ってのは守らなきゃなんねえ。」







「じゃが・・・・」







やめてくれ。
心が危険信号をともす。








「それに、









・・・・・後味も悪かったんだよ。









この間から、あんたにゃ
きついことばっか言っちまったからな。







ガラじゃねーが・・」









頼むから






・・・・少しのやさしささえ、
わっちに見せなんでくれ。









「今まで言っちまった言葉を訂正しようかと思って・・・」









やめてくれ。




「訂正など要らぬ。
お願いじゃ。」








わっちを、蔑んでくれ。

汚いというてくれ。


寄るなというてくれ。









いぶかしげな顔。




「・・・どうしてだ？」








それは、

・・・だって、





人として扱われてはいけない売り物が、






・・・・もし優しさをかけられてしまったら、






「・・・調子が、狂うんじゃ。」









・・・・・好きになってしまう。









女になった遊女に、









存在価値などない。

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