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124話 ページ27

私のベッドになるせくんを降ろし、呼吸が戻るのを待つこと数分


だんだんと安定してきた


「落ち着いた?」


近寄ると余計に怖がられるからあるていど距離を置いて話しかける


すると うん と返ってくる


「じゃあ、お姉さんと少しだけお話してくれないかな?もちろんなるせくんに痛いこともひどいこともしないよ」


そういうと驚いたように目を見開いた


「お、れのこと男ってわかったの?」


恐る恐ると言ったようにそう呟く彼


その恐れを解いてあげたい


その思いでにっこりと微笑みながら言った


「わかるよ。なるせくんはちゃんと男の子だから」



ほろり



大きな粒が大きな目から零れ落ちた


次から次に涙が零れている


「涙、止めてもいい?」



うなづいた頭がみえたからギューッと抱きしめる



とんとんと背中を叩きながらめいっぱい泣かせてあげる


この子はこんなに小さい体で頑張ったんだ


ずっと、ずっと1人、いやあらきくんと2人で荒れ狂う暴風に立ち向かっていたのだろう



あらきくんはみんなと遊ぶことで、なるせくんは今私といることで少しでも風から守ってあげられるかな


さっきみたお互いを信頼し共依存している2人の瞳がやけに羨ましく感じた




ギューッとしたまましばらくいると肩からスースーと聞こえてくる




ゆっくりと横にならせその顔を眺めると、本当に女の子のようだ



髪を撫でるとふわっと笑い同時にフローラルの香りがした



手入れされた小さい子にしては異色の桃色の髪


漂うフローラル



そして男として認められたいというような表情


それらが表すことはきっと、、、



そこまで考えている時病室のドアがあきあらきくんが入ってきた



眉尻を下げつつ鋭い目付きでこちらを見る



「なるせは?」



寝てるよ


といい目線を促すと目元が緩んだ



あらきくんを手招きして隣に座らせる


「みんなと遊ぶの楽しかった?」



「うん。」



「よかった」



お互いが言葉を選んでいるようで進まない会話



「......あらきくん、私のこと怖い?」






「うん。けどなるせが安心してるからもう大丈夫」




「そっか。ありがとね」



「看護師さん、怖いからここにいてもいい?」



出会ってすぐなのにもう怖がらなくなるってすごいな



子供の方は治りやすいのかな



なんてこの時は安易すぎる考えを持っていた



そんなはずないのにさ

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龍羽(プロフ) - あいろさん» とても光栄です!ありがとうございます!更新頻度が定期的でない上に遅くて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします (2019年11月2日 16時) (レス) id: 6143e2a037 (このIDを非表示/違反報告)
あいろ - ここまで続きが気になる小説は、初めてです。更新頑張ってください! (2019年11月2日 8時) (レス) id: 7961ad3a74 (このIDを非表示/違反報告)
龍羽(プロフ) - きゆさん» 再度レスありがとうございます!!最後の話の更新が約1年前なんですよね^^;言い訳するわけではないのですが当時とはまた考え方や書き方が異なってくるかもしれません。それでも完結までもっていきたいと思っているので気長にお待ちください笑 (2019年8月29日 22時) (レス) id: 6143e2a037 (このIDを非表示/違反報告)
きゆ - 見てすぐ返してくれてありがとうございました(。・ω・。)どんなに時間がかかっても、完結までお付き合いしますので!無理しないようにリュウさんのペースで進めていって下さいね!夜遅くにすみませんでした。 (2019年8月29日 22時) (レス) id: a065501dc8 (このIDを非表示/違反報告)
龍羽(プロフ) - きゆさん» 感動していただけてとてもうれしいです!更新がんばりますね! (2019年8月29日 22時) (レス) id: 6143e2a037 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リュウ | 作成日時:2018年3月27日 19時

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