どうか 毛頭 ページ49
それは急だった
目覚めて直ぐにミカサから告げられ
今はシーナへと続く扉をくぐったばかり
杖がなくとも歩行は可能だが
あった方が良い
足の調子はそんな感じ
馬車が止まり
お代を払い
久しぶりにこの地を踏んだ
ミカサから告げられたのはひとつ
お洒落して来い
たったこれだけ
ここへ来た理由
アニを捕らえるというのは分かるけど
お洒落する意味が分からない
貴族の相手をする訳でもないだろうし
髪はハーフアップを薄い水色のリボンで括り
化粧もした
服だって上品な白いワンピースを着ている
怪我を隠すのにレース付きの白い手袋
色があるのは唇とリボンのみ
これでご満足いただけなかったら
そいつはセンスがない
暫く歩くと
アニが居た
誰かと話している様だったが
地下室へと続く階段にいる為か
姿は見えない
作戦の途中かもしれない
…何も言われずにここに放り込まれたのだ
『アニ』
何をしても良いだろう
こちらを見たアニは驚きながらも
少し笑った
「随分とめかしこんでどうしたんだい」
『団長様のご命令』
「大変そうだね」
なんの違和感もなく会話出来ることに喜びを覚え
アニに近付いた
「止めた方がいい死ぬよ」
『アニと一緒に死ねるなら良いかもね』
ひとつ笑う
『アニが私を殺すなら私もアニを殺すよ』
少しの振動、温かさ
「それが出来ないのは知ってるでしょ」
『まぁね』
アニが抱き着いてきたからだ
視線を強く感じる方を見れば
アルミンが怖い顔でこちらを見ていた
本来なら私もそんな顔でアニを見るのだろうけど
それはしないというか出来ない
『殺される気は』
「ないね」
『捕まる気も?』
「毛頭ないよ」
『このままじゃ私牢獄行きなんだけど』
「だろうね」
温かさは消え
綺麗な水色が私を見ていた
「どうせ周りに居るんだろう」
何かを決めたような顔をしている
「この子は私の仲間でもなんでもない」
驚いた
「この子を金輪際疑わないと誓うなら」
だってこの状況下で
「情報を少し渡す」
私を庇うなんて
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堕落生(プロフ) - みずたまなっちゃんさん» 嬉しい言葉をありがとうございます。更新頑張りたいと思います! (2020年3月19日 11時) (レス) id: be1f967fd2 (このIDを非表示/違反報告)
みずたまなっちゃん(プロフ) - このお話とっても素敵ですきです。続きも楽しみにしてます応援してます! (2020年3月19日 1時) (レス) id: 4a985c6981 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕落生 | 作成日時:2020年3月4日 18時