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プルルルルル
プルルルルル
彼に電話をしてみるが、全く出ない。
まだ寝てんのかな？
最近仕事が忙しかったみたいで、三週間ぶりに彼の家に来たので、鍵を開けるまでに一応電話してみたが、応答はない。
しょうがなしに、鍵を開けて部屋に入る。
インターホンがないのは不便じゃないのかなぁ。
「龍一郎さーん？入るよー？」
1Kの小さなアパートに住んでいるから、入ったらすぐにキッチンと水回り。
で、すぐにドアがあって、寝室&リビングだから、どこにいるかはすぐにわかってしまう。
今日の彼は、こたつで突っ伏して寝ていた。
昨日の夜飲んだであろうビール缶やカップ麺のゴミを片付けて、彼の朝食を作り始める。
(きっと疲れ果てて、ついこたつで寝てしまったんだろう)
ベッドで寝ることにこだわりのある彼らしくない寝相に少し心配になる。
わたしはまだ大学生で、もうすぐ就活だ。
仕事の大変さも、つらさも、わからない。
せめて美味しいご飯を、と付き合い始めてから3年間、こうして会える日に作りに来ていた。
今日の朝ご飯は、昨日煮た煮物と、焼鮭とお味噌汁。
手間暇かけた豪華な洋食とかより、日本のザ朝食、の方が喜ばれるから手応えはないものの、こういう普通のものが1番その人の好みが出るから難しい。
簡単に作って、溜まっている食器類を片付ける。
(…自分一人で簡単に済ましている食器だなぁ)
なんて考えてしまうから、自分は嫌な女だ。
他に女が来ていて、何か作っている形跡がない。
それが安心材料になっている自分に嫌悪感が湧く。
ほんとうは、部屋に入るのだって怖いのに。
もし、他の女の人が彼と一緒に寝ていたらどうしよう、なんて想像をして、一人で勝手に不安になる。
自分に自信がない。
7つも上の彼には、学生の自分なんかお子様にしか見えていなくて、本当は綺麗で大人な恋人がいてじぶんは遊ばれているのでは、なんて。
彼が本当に忙しいことは重々承知なのに、そんなことを考えてしまう。
また考えが暗くなり始めて、だめだだめだ、と首を振って今度は洗濯物を回しにかかる。
(あ、机の上拭いてなかった)
もう一度部屋に戻ると、彼が半分寝ぼけたような表情で起きてぼうっとしていた。
「あ、おはよう。勝手に入ってごめんね。起こしちゃった？」
「………」
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作者名：ゆめこ | 作成日時：2019年2月12日 21時
