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その後、諦めの悪い小平太と長次の戦いが始まってしまった。
最終的には長次の堪忍袋の緒が切れて、いつもの不気味な笑顔に豹変したことで滝夜叉丸が震え上がり、体育委員二人は一旦撤退することにしたらしい。
(一旦ってことは……また来るつもりなのか?)
私は長次に連れられて図書室へと向かった。
戸を開けると久しぶりに見る顔が二人
あちらも私に気づいた様で、
一人は満面の笑み、もう一人は苦笑していた。
雷「A先輩!お久しぶりです」
『久しぶりですね雷蔵……久作も』
久作「あ、あはは……」
『私が言えた口じゃないですけど、さっきから何でそんなに変な笑い方をしているのですか?』
久作「ええと……さっきボロボロになった一年生が来たので、わけを聞いたら“歓迎会”をやったと聞いて……」
『あ……』
去年の被害者は今の二年生達である。
恐らく一年生を見て、苦い記憶が蘇ってしまったのだろう。
『すみませんでしたね、久作。私がくのたま達を止められれば良かったのですが』
久作「いえ、A先輩の所為ではありませんよ。おれが勝手に思い出して怯えてただけなので」
本当にできた後輩である。
(まだ幼いのにちゃんと敬語も使えるし、ほんと偉いよ)
私が久作の頭をそっと撫でると、久作は少し照れくさそうに笑った。
雷「ところで先輩は何故此処に?」
『実を言うと、かくかくしかじかでして』
私が端的に理由を説明すると、雷蔵は真剣な顔つきになった。
雷「理由はわかりました。僕達図書委員会がしっかりA先輩を護ってみせますね!」
『皆さんありがとうございます』
そしてそれから数日後
他の委員会が来る気配はない。
あれから毎日移動する時には長次か雷蔵が付き添ってくれて、お昼は決まって図書室にいるから隙が全くと言っていい程ないのだ。
まあ、変な戦いを押し付けられたり、追いかけ回されたりするよりはマシなのだが……
(図書委員会の思うつぼになっている気がする)
私は護ってもらう代わりに図書委員会の仕事を手伝っている。
本の貸し出し、文書の補修、貸し出し期限が過ぎた本の回収などなど…
これでは、図書委員会に入っているのとほぼ同じ事だ。
(隙をみて此処からも抜け出さないとな……)
きり丸「A先輩!おれがこの書類に書かれてる本の確認するんで確認済みのサインだけ貰えますか?上級生のサインじゃなきゃ駄目らしくて」
『ああ、いいですよ』
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ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時