六 ページ8
医務室の戸を開けたその時、
何かがこちらに向かって突進してきた。
「イケイケどんどーーーん!!!!」
あ、七松小平太だ。
突然すぎて私は避けることができず、正面からぶつかった。お陰で飛ばされて薬棚に衝突
『痛ぁ……』
七松「A!!サインを貰いに来た!!!!」
『突き飛ばしといて謝罪の一つも無しですか?』
七松「ああ、それはすまなかったな!!しかし、お前ならそれくらいどうってことないだろ?」
『そうであっても、流石にこの扱いは酷過ぎます』
それに飛ばした先も問題だ。
薬棚が壊れでもしたらどうするつもりなんだ。
もう六年生なのだから少しは考えて行動してほしい。
(中にいた伊作は吃驚して抜け殻みたいになってるし……)
七松「ほら、早くサインしろ!!」
紙を目の前に突き出して催促されても、私はサインする気など毛頭ない。
『今年はどの委員会にも入らないと決めているので』
それに私が委員会に入ろうと思っていたとしても、体育委員会と会計委員会だけは絶対に御免である。
私の心身が限界を迎えることが簡単に予想できるからだ。
小平太は眉間に皺を寄せ、不機嫌そうな顔のまま俯いた。
私がきっぱりと断ったから次の手を考えているのだろう。
私はこの隙に逃げ出そうとした
のだが、
七松「滝夜叉丸っ!!!」
滝「はい!!」
小平太が叫んだと同時に滝夜叉丸が飛び出してきて、行く手を阻まれてしまった。
滝「A先輩!此処は通しません」
七松「さあ、もう逃げ場はない!大人しくサインしろ!A!!」
忍術学園一の体力を持つ小平太から逃げることは容易ではない。それに加えて四年生の滝夜叉丸の妨害も掻い潜っていかなければならないとなると更に厄介である。
私が策を考えあぐねていたその時、後ろからぐいっと何かに引っ張られた。
伊作が意識を取り戻したのかと思い、振り返るとその正体は、長次だった。
七松「長次!!!何故此処にいる!!!!」
上を向くと、天井の板が少し外れている。
どうやら長次はずっと上で機会を窺っていたようだ。
長次「小平太…強制するのは良くない……」
七松「何だと?!私はサインするように“お願い”しただけだ!!」
(いや、明らかに命令形だった)
長次「取り敢えず、Aは図書室で匿うことにしよう……他の委員会も来るだろうからな……」
七松「抜け駆けする気か?!!」
『長次ならまだ信用できます。ありがとう』
長次「モソ……」
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ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時