四十七 ページ49
あの実習から数日後
私が自室で一人宿題をしていると外から戸を叩く音がして、開けてみると廊下にはおばあちゃん姿のシナ先生がいらっしゃった。
『シナ先生、どうかなさいましたか?』
先生は何やら深刻な面持ちである。
シナ「Aさん、前回の実習の結果ですが……」
それを聞いた瞬間、背中がゾクっとした。
張り詰めた雰囲気にコクリと小さく息を呑む。
シナ「……無事合格です!」
先生はそう言うと表情が満面の笑みに変わって、私は安堵のため息をついた。
『……良かったです』
シナ「ホント、途中で悪漢に絡まれたりして大変でしたね」
『アレ見ていらっしゃったのですか?』
シナ「ええ。よく女性側を守り切る事が出来ましたね……少し手裏剣の扱いは危なかったですけど」
『すみません……』
シナ「でも、他の行動で十分カバーすることができていましたよ。甘味処での行動とか」
私は甘味処での事を思い出した。
確かにあの行動は勇気がいるものだったが、元はあの奥さんがキッカケを作ってくれたのだ。私の栄誉ではない。
そう伝えるとシナ先生は微笑んで「本当にいい子過ぎる子ねぇ」と溢した。
シナ「でも、お店の人が誰にでも絶対にあの行為をしてくれるとは限らないでしょう。あの様な結果になったのは貴方の人柄や行いが常日頃から良いからだと私は思いますよ」
シナ先生って甘い時は本当に甘いというか、その優しさに涙が出そうになる。
しかし、私はそれを堪えて ありがとうございます、と一言告げた。
シナ「あと、最後にお店に寄るのも良かったですよね……あの初々しい感じ…」
まだシナ先生は話を続けていく。私もそれを最初はにこやかに聞いていたのだが段々とそれに違和感を感じる様になってきていた。
『そういえばこの実習、一体何が目的だったんですか?変装の腕を見るにしても情報を聞き出してくるとか目的があったらすぐ終われたのに何故……』
私がそう言うとさっきまで話していたシナ先生の声がピタリと止まった。
私はそれを見てまた不審に思い、今までの事を思い返してみた。
『もしかしてですけど……ただ単純に“見たかった”訳では無いですよね先生……先生?』
私がそう問い詰めたその時、シナ先生は一瞬で若い姿へと変わって、両手を合わせたポーズをとった。
シナ「ごめんなさいね!実習ついでにちょっと楽しみたかったの!!可愛い姿が見れてとても満足だったわよ」
『やっぱりですか……』
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ゆかり(プロフ) - あー、喜八郎と一緒に寝たい人生だった (12月24日 18時) (レス) @page16 id: c2f7bbb147 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 夢主さん最高 (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 面白かったです✨(*`▽´*) (2023年2月22日 0時) (レス) @page50 id: 12d02573a8 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 面白かった〜 (2023年2月15日 0時) (レス) @page50 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - お話良かったです、素敵な作品ありがとうございます。 (2022年7月29日 13時) (レス) @page50 id: 5834c2d9fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホシ | 作成日時:2021年12月31日 3時