上級生の紅一点は、無愛想。《第一章》【RKRN】 (ページ37)

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三十五ページ37

シナ先生が部屋を出て行かれた後、部屋にやってきたのは今日の朝も出会した覚えのある三人だった。

『貴方達だろうとは薄々思ってましたけどね』

仙蔵「まあ、こんな状況であの部屋に六年生以外の生徒が来るとは考えられないからな」

仙蔵は「当たり前だろう」と言うように鼻で笑った。

『そういえば小平太、今何時ですか……？』

七松「今か……？もう酉の刻は過ぎてると思うぞ」

(もうすぐ夜じゃないか)

さっき私が伊作と一緒にいた頃はまだ日が高かった。
まさかそんなに長い間眠ってしまっていたとは。

長次「……もうすぐ夕餉の時間だ…」

七松「そうだな！！私達がまた粥を作って持ってこよう！」

『え……』

七松「なあに、長次と一緒なら大丈夫だ！さっき私の作ったのを伊作に食べてもらったが意外と好評だったぞ」

『本当に任せて大丈夫でしょうか……』

私が眉間に皺を寄せながら言うと、長次が近づいてきた。

長次「Aが食べるものならきちんと見ておく……さっきのようなものにはしない」

(駄目だ……さっきの留三郎の粥を見た後だと、この台詞も更に不安になるだけだ)

心の内にはまだ葛藤があったが、今の動けない私はこの三人に頼るしかない。

私は仕方なく任せることにした。

『で、何で仙蔵は出て行かないんですか？』

仙蔵「だって、こんな状態のお前は珍しいだろう。今のうちに見ておこうかと思ってな」

『そんなに面白くもないでしょうに』

仙蔵はまた楽しそうに笑っている。

どうせ今の私をどう揶揄ってやろうかとでも考えているのだろう。

いつもの私なら反撃しようと考えるが、今はそんな気力もない。煮るなり焼くなりすきにしろ。

私は不貞腐れた様な顔をして俯いた。

すると、急に仙蔵のクスクスと笑う声が止んだ。

仙蔵「それにしても、不用心じゃないか？男を部屋に入れるなんて」

いっきに真剣な声色になった仙蔵はそう言い放つ。
唐突に何を言い出すのかと思った。

『そりゃあ、折角シナ先生が貴方達に頼んでくれたのですから、受け入れない訳にはいかないでしょう』

仙蔵「………じゃあ、山本先生が頼んだ人間であれば誰であっても受け入れるというのか？」

機嫌を損ねた様に仙蔵は低い声で言った。

それに私は答えた、
『ええ、シナ先生は信頼できる人ですから』と。

すると急に私の視界はぐるっと回った。

次に目に映ったのは天井と焦燥に駆られた仙蔵の顔だった。