286、魔法使いじゃない。 ページ6
ペタンコのお姉さんが、実は光さんだとわかり、安心したような、がっかりしたような、妙な気持ちになってしまった。
…同志だと思ったのに…。
ちょっと、いや、だいぶ騙された気分だ。
っていうか、よく考えたら、ここは部屋についている露天風呂なんだから、知らない人が入っているわけがない。
温泉がある部屋になんか泊まったことないから、つい共同浴場だと勘違いしてしまっていた。
主『光さん、どうしてここにいるの?』
光「ん?近くで取材があったんだけど、京兄からあんたたちがこっちに来てるって聞いたから、ワタシもちょーっと仲間に入れてもらおうかと思って♡」
主『温泉楽しいもんねー』
お父さんは仕事で忙しく、小さい頃から絵麻と2人だったから、今、家族で温泉に入っていると思うと、なんだか嬉しくてホワホワした気持ちになる。
でも、さっきから何か忘れてる気がするんだけど…。
主『…え、ちょっと待って。ここ、お風呂だよね?光さんって、男の人…だよね!!?』
光「何?見たいの?っていうか、ワタシたちキョーダイなんだし、家族風呂に家族で入って何が悪いの?」
主『いや、え???』
家族風呂って名前があるくらいだし、キョーダイも家族なんだから、一緒に入ってもいい…のか??
光「それに、アンタはワタシのお嫁さんになるんだから、このくらい当然でしょ?」
主『おっ、お嫁さん!!?』
光「何、もう忘れたの?針千本飲む約束したじゃない」
主『あっ、ハリセンボン!!思い出したっ!!』
確かに、お父さんの結婚式の時に、ハリセンボンを飲む約束をした。
でもあれは、光さんがタキシードを着るから、ボクもウェディングドレスを着るっていう話しじゃなかっただろうか。
光「あ、もしかして女モードより俺の方がいい?お前、こっちの方が好きだろう?」
主『はぅっ…光さんが急にイケメンになった!!!』
光「そりゃどーも」
濡れた手で前髪をかき上げながら細めた瞳と、腕を伝う水滴が、月明かりでキラキラと輝き、なんとも妖艶な色気を醸し出している。
口調が変わっただけなのに、男っぽい話し方になっただけで まとっている雰囲気まで変わるなんて、まるで魔法のようだ。
主『ここにも魔法使いがいた…』
光「残念だけど、俺は魔法使いじゃない。ハジメテの方が良かった?」
首をかしげるボクに向かって、光さんは妖しげな笑みを浮かべて微笑んだ。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2021年11月2日 22時) (レス) @page15 id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
wami7(プロフ) - 続けて2回連日読みました。とっても面白いです早く続きが読みたいです♪ (2021年9月22日 16時) (レス) @page15 id: 5c30b9e198 (このIDを非表示/違反報告)
ベニ(プロフ) - お話すっごく面白いです( ´ ▽ ` )続きがとても気になります…!これからも頑張って下さい!! (2021年3月5日 23時) (レス) id: f83974f483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2021年1月25日 14時