281、痛くしている。 ページ1
何か冷たい物に置かれた感覚で目が覚めたボクが目を開けると、なつめくんの顔の後ろに、見覚えのある部屋の天井が見えた。
どうやら、ボクが居眠りしている間に、なつめくんが部屋の布団まで運んでくれたらしい。
棗「悪い、起きたか?」
主『んー、だいじょーぶぅ…』
何が大丈夫なのかわからないが、なんとなくそう返事をした。
…えーっと…さっきまで何してたんだっけ??
ぼんやりと、さっきまでの状況を整理してみる。
…旅行に来て…腕相撲して…。
あ、そっか。
さっきなつめくんに好きっ言って、フラれたんだっけ。
自分がフラれて、初めてわかった痛みに、ボクは一人頭の中で反省会を開いていた。
もちろん、恋愛的な意味で言ったわけではないが、相手に拒否されるのがこんなにツライとは…。
ボーっと遠い目でなつめくんを見つめるボクを見て、何か考え込んだと思ったのか、なつめくんはポンポンとボクの頭を撫でると、おもむろにボクの手をとった。
棗「腕、疲れてないか?さっき腕相撲で、普段使わない筋肉を使っただろう。ほぐしておかないと、明日筋肉痛で腕が上がらなくなるぞ」
主『そうかな』
棗「ああ、多分な」
布団の上に寝たままのボクの腕をなつめくんは両手で持ち上げ、筋にそわした親指にグッと力を入れる。
主『な、なつめくん、いっ、痛い…んだけど…』
棗「痛くしているからな」
主『まさかの!?』
突然のS発言に驚いたボクに、「マッサージはそういうものだ」と、さも当たり前のように言い放ち、なつめくんはマッサージという名の苦行を続けた。
なつめくんの手がボクの腕を揉みながら、浴衣の袖の中へと入り、どんどん根元に進むにつれ、痛さと共にくすぐったい感じがプラスされていく。
何より、なつめくんの手が直接ボクの肌に触れているからか、ゴツゴツとした指の固さも、熱い体温も、その全てがダイレクトに伝わってくる。
主『もっ、もういいっ…腕、大丈夫っ!!』
棗「そうだな。じゃあ、次は肩だ」
そう言うと、なつめくんはボクの腕から手を離し、肩を掴むと、転がすようにボクをうつ伏せに寝かせた。
そして、手が離れ、ホッとしてマクラに顔を埋めてうつぶせに突っ伏しているボクの背中に、大きな何かがのしかかる。
視界に入った腕と、その重みと感覚から、それがなつめくんの体だということがはっきりとわかった。
134人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2021年11月2日 22時) (レス) @page15 id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
wami7(プロフ) - 続けて2回連日読みました。とっても面白いです早く続きが読みたいです♪ (2021年9月22日 16時) (レス) @page15 id: 5c30b9e198 (このIDを非表示/違反報告)
ベニ(プロフ) - お話すっごく面白いです( ´ ▽ ` )続きがとても気になります…!これからも頑張って下さい!! (2021年3月5日 23時) (レス) id: f83974f483 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍 | 作成日時:2021年1月25日 14時