遠回りしても…４【ダイヤのＡ】

44話 ページ45

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「俺と付き合わね？」





真田君に言われたその言葉の返事はNOだ。




一也を思いながら
違う人と付き合うなんてことができるほど
私の神経は図太くない様だ。



自分で別れる事を決めたのに
未練タラタラで嫌になってくる。



真田君には素直に
今は誰かと付き合うとか
考えられないと、伝えた。






すると真田君は
今は、ってことは
チャンスはあるって考えていいよな？
なんて言って、笑顔を向けられた。





これからは、
ガンガン押して行くから
覚悟する様にとも言われ、
明るいからいい、
と言っているのにも関わらず
家まで送ってくれた。








『…ありがとう。』




実家の前に着きお礼を言うと
じゃあ、また連絡するから
と、笑顔を向けられた。




「A？」




曇りのない笑顔を向けられ
思わず視線を逸らすと、
真田君の後ろから
私の名前を呼ばれてすぐに顔を上げた。




『お母さん！』



「…友達？」




真田君を見てそう聞かれ、
まぁ、と答えると
寒いんだから中に入りなさい？
と、会釈をする真田君の背中を押して
我が家へと迎え入れようとしている。




『ちょっ！えっ？！』



同様している私など、
気にも留めず真田君を
家へと招いている。
真田君も、お邪魔します！
と、笑顔で家に入っていく。



こうなってしまったものは
仕方がない。
諦めて私も家の中に入った。






『普通、帰るんで！とか言うよね？』




「せっかくだと思って？」




真田君に文句を言いながら
リビングへと行くと
見慣れないスーツがかかっていた。





『どうしたの？このスーツ？』






よく見れば、前に一也と
優志のプレゼントを買いに行った時に
見ていたスーツだった。




「あぁ〜、さっき一也君が来てね？
優志にプロ入りのお祝いだって
置いて行ったのよ〜！
Aが出かけてるって言ったら、
また後で来るって言ってたわよ？」






それを聞いた瞬間、私は立ち上がった。
お母さんが、
あんた達喧嘩でもしたの？
なんて言っているのを無視して
バタバタと自分の部屋へと走った。





自分のアパートから持って来てもらった物を
大きめの鞄に夢中で詰めていると
入るな？
と、真田君が私の部屋に入ってきた。





「行く当てあるのかよ？」




パッと浮かんだのは彩乃だったが、
昨日から３日間は
実家に帰ると言っていたし
行く当てなど私には無く、
黙ってしまった。







「なら、うち来るか？」









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