遠回りしても…４【ダイヤのＡ】

31話 ページ32

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部屋を飛び出し走って部屋を離れた。
後ろを振り返っても
一也は追いかけて来ない。





走るのを止め
うつむきながら歩いてホテルを出てからも、
少し進んでは振り返る
何度も繰り返したが、
やはり一也は追いかけて来てくれない。




なんで…
いつもみたいに追いかけて来てくれないの？
追いかけて
抱きしめて
悪かった。
そう言ってくれたら…




けど、何度振り返っても
一也の姿は見えない。




止まらない涙で前が霞みながら
進む足も止まらず
気がつけば家の前まで来ていた。




今部屋に戻ったら
もっと辛くなりそうだ。
部屋には一也の物がたくさんあるから。





そう思い、私の足は
家の前を通り過ぎた。









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「A？！どうしたの？！ひっどい顔！！」






他に頼るところも無く
辿り着いたのは彩乃の家。



インターホンを鳴らすと
すぐに玄関を開けてくれた。





『彩乃…うぅっ……』




彩乃の顔を見て
堪えていた涙がまた一気に溢れ出した。



そんな私を見た彩乃は、
ギョッとして私の手を引くと
部屋の中に誘導してくれた。







「いったいどうしたの？」




私をソファーに座らせ
目の前にしゃがみこんで
尋ねてくる彩乃に答えるべく
自分の呼吸を整えた。







『…私、……一也と別れた。』





言葉にすると本当にあれで終わったんだと、
また溢れでる涙の所為で
そう言うのが精一杯だった。









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