検索窓
今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:14,454 hit

21 ページ25

編集部屋の前に行くと、言い争うような声が聞こえた。








全部無視して、扉をノックする。


一瞬、声が止まり、しばらくしてしゅんちゃんの声がした。


「入り」


「失礼します」




部屋の中には、緊迫した空気が流れている。


しゅんちゃんが、私を見て一瞬、驚いたように目を見開いた。





「ごめんな、急に呼び出して」



「大丈夫。ふぉい君、2人で話したいけん、外にいといてくれん?」



「でも」

「お願い」




そう言うと、ふぉい君は悔しそうに唇を噛んだ。


無意識に、ふぉい君の口に手が伸びた。




「噛んだらだめよ。せっかく綺麗な形しとんのやから。大事にしやんと怒るよ」







悲しそうな顔しないで。



君の悲しそうな顔を見ていると、どうしてか泣きたくなるから。




「ふぉい君、ありがとう」








ふぉい君が部屋を出て、しばらく無言の時間が続いた。




先に口火を切ったのは、しゅんちゃんだった。







「なんか、久しぶりやな。2人でおるの」



「そうやね」




いつぶりだろう。



メイクをする以外でしゅんちゃんの顔を見るのは。





しゅんちゃんの瞳に映る私は、綺麗に見えてる?





あなたが出会った誰よりも、綺麗になれてる?





「A、話なんやけど」



「うん」





「今日限りで、バイトは終了にしよう」





「…うん。ありがとう。沢山経験詰めて、色んな人と出会えて、すっごい楽しかったったい」








最後くらいは、笑顔の私を見て。





「ねぇ、しゅんちゃん。私ね、しゅんちゃんの事好きやったよ、ずーっと前から。


今も変わっとらんよ」





「ごめん」






まだ泣かない。







「しゅんちゃん、今日の私、綺麗?」



「あぁ、綺麗やよ」






笑顔のままで終わりたいから。

side社長→←20



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
53人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なる - 久しぶりに泣きました!こんなに良い作品を作ってもらってほんとに感謝です、、!ありがとうございます! (2023年1月27日 21時) (レス) @page33 id: 0a17aac8c4 (このIDを非表示/違反報告)
コットン - 毎日更新してくださりありがとうございます!次のお話も待ってるよ(о´∀`о) (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: cdf631467a (このIDを非表示/違反報告)
サママリネ - めちゃ良かったです! 次のお話も楽しみにしてます✨ 更新頑張ってください❤️‍🔥 (2022年11月13日 8時) (レス) @page33 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2022年10月30日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。