僕は俺は私はあなたと

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あれから何年経っただろうか。

いつのまにか私は社会人になり、立派とは言えなくとも普通の人生を送っていた。
送って、いたのだ。


きっかけは、アメリカで弁護士になった私が、とある女の子の弁護人になったこと。女の子は空条徐倫といって、ひき逃げ・死体遺棄の容疑があるそうだ。

見るからにやさぐれていて、この子を相手にするのは少し骨が折れそうだと思ったのを覚えている。
けれど話してみればどうだろう。なかなかどうして気の良い女の子だった。

私が同姓というのが大きかったのだろう。彼女は今回の件での状況や自分の思いを事細かに教えてくれた。

彼女の話を元に証拠を集め、後少しでピースが揃うという時だった。

私は同僚の男に嵌められ、謂れの無い罪でこの件を降りることになった。その後継は、私を嵌めた男が行うという。

後から調べたことだが、同僚は「この件が徐倫の非でないと困る誰か」から賄賂を受け取っていたらしい。

あの男は言った。お前のことはこの件から逃げ出したと伝えておくよ、と。

徐倫はきっと、私を恨むだろう。
感受性豊かなあの子のことだから、次に出会ったら頬に一発くらいもらうかもしれない。
もしそうなっても受け入れる。そしてたくさん話をして、もう一度仲良くなろう。

それから私は気持ちを切り替えて仕事に復帰した。
それでも心の片隅にはいつも徐倫がいて、ずっと忘れられないでいた。

この出来事が、私の運命の分岐点だったのだと思う。

「やっと...やっと見つけたわ、Aさん...！」

「徐倫の想い人というからどんな相手かと思えば...」

「と、父さん！余計なこと言わないでよ！」

目の前にいるのは私を恨んでいるはずの徐倫。
そして隣にいるのは、どこからどう見ても。

「久しぶりだな。A」

私の初恋の彼、空条承太郎その人だった。

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