リドル先輩に男装バレしてしまった監督生の話。【リドル･ローズハート】 (ページ6)

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5話ページ6

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「……それで？弁明があるなら聞こうじゃないか。
あろう事かハーツラビュル寮の寮長であるこのボクを捕まえてあんなに走らせたんだ、納得のいく言い訳くらいは考えてきたんだろうね」

『あ、あの……その、すみません。』

どうしてこんなことになってしまったんだろう……

相当に上等な茶葉が使われているのであろう紅茶の入ったオシャレでフォトジェニックなティーカップを手に今朝のことを思い起こして、私は頭を擡げた。

__今朝の一件から時は流れて放課後となり、私はローズハート先輩に先程の件について詳しくお話しないかという建前で、先輩が寮長を務めているハーツラビュル寮へと招かれていた、のだけれども___

『(こ、怖い……さっきから後ろにいる知らない先輩達の威圧感もすごいし、何よりローズハート先輩の笑顔が怖い…。本当に、どうしてこんなことに…？)』

泣きそうになりながら、誤魔化すように紅茶を1口すする。いい香り。気の毒そうな顔をしながら差し入れてくれたトレイ先輩お手製のパイも、すごく美味しそうだ。

……なんて、この雰囲気の中で手を付けられるほど、私は勇敢じゃないんだけど。

『ろ、ローズハート先輩、今朝はすみませんでした！』

私は勢いよく潔く、かつ流麗に頭を下げた。
何に関して謝っているのかといえば、今朝ローズハート先輩の腕を引いて学校までダッシュしてしまったことについてだ。

まあ、ローズハート先輩の体力がもたなくて途中で止まることを余儀なくされてしまったのだが、この際それは先輩にとって些細な問題だろう。

『本当にすみませんでした。先輩が午前の授業を免除されていたなんて知らなくて…！遅刻して単位を落としたりしたらまずいんじゃないかと思っただけなんです！善意のつもりだったんです！すみません！』

結局、私のあまり出来の良くない脳みそでは勢いに任せて謝り倒すという簡素な方法しか思いつかず、
もはや土下座する勢いでローズハート先輩に詫びを入れた。

「謝って済むなら警察はいらない……だっけ？君のご学友のエース･トラッポラくんが言ってたじゃあないか。なら、君も自分が何をすれば良いのかわかるね」

『え、ええっと……もちろんです。薔薇を赤に塗るとか…あっ、ピンクの服を着てフラミンゴの餌やりをするのでも構いませんし、何でもやります！』

優雅に紅茶を口に運ぶ先輩は、おやつのパイがよほど好みだったのか先程よりは機嫌が良いみたいだ。