その3 ページ3
加州に引っ張られる大倶利伽羅を見届けながらも、俺達は同じように軍勢の中に飛び込んで行った。
怪我をしていた忍びが大倶利伽羅に抱え上げられジタバタしていたので、俺は近寄って一発手刀を決めてやった。
「あ?これ女忍びだな。」
だらりと力が抜けたその忍びは少し細身で、髪は少し長かった。
加州と鶴丸が一通り取り囲みの軍勢を追い払った所で遡行軍がお出ましする。
「大倶利伽羅、その忍びは木の陰に置いとけ、後でまた回収して手当しときゃ大丈夫そうだからな」
俺がそう言うと、大倶利伽羅は無言で忍びを木の陰に寝かせた。無愛想でも人情深い奴なんだよな。
山姥切と偵察を終えてきた堀川が俺の隣に来ると、陣形を伝達した。
「兼さん、あの忍びさんはどうしたの?」
「あぁ、遡行軍に見つからねーように木の陰に寝かして置いた。後で手当する」
「なるほどね。加州さんと鶴丸さんが軍勢を追い払ってくれて助かったよ。このままだと遡行軍との戦いに巻き込むことになっちゃうから」
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すぐ近くで、刀がぶつかり合う音が聞こえた。
「っ、手刀で気を失ってた...」
気付けば私は木の陰に寝かされ、その表では先程出会った男達が何やら怪物のようなものと戦っていた。
「なんだ、あの怪物...!!」
一瞬その戦いに見入ってしまったが、私はすぐに足首の傷の応急処置をして木の陰から逃げ出した。
「あの男達がここに来れたってことは、今行けば道はなんとかなってるかもしれない」
そう思いひたすら走ると、遠くに味方側の陣営がほんのうっすらと見えた。
「やっぱり!あと少し走れば間に合う!」
先程までの緊張がほんの少しほぐれた時、
「まーたお前逃げ出したな、少し大人しくしてりゃ二回も手刀食らうことはないってのによ」
その声に反応して背後を振り向くと、さっき私に手刀をお見舞いした黒い長髪の男がいた
「助けてくれたことには感謝するけど、あなた達に構ってる暇は無いの。
手当は自分で後でするから、さよなら」
私がそう言ったにも関わらず、目の前の男は全く引く気配がない。
「まだ何かあるの?」
ズキズキと応急処置した傷が痛む
早く陣営へ戻って手当をしなければ、今度は次の任務に影響が出る。
「やっぱ忍びってのはすげーな、そんな深い傷負ってても全く表情に出やしねぇ」
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作者名:にわ | 作成日時:2020年2月7日 19時