無花果は恋の始まりを ページ24
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『おはようございます中原さん』
「ン、…はよ。」
昨日から____俺の目がおかしい。
端的に云うと、
Aがどうしようもない程、可愛く見える。
何なンだ此れ…。
「体調は大丈夫なのか?」
『はい、すっかり熱も下がりました。
もう大丈夫です。ご迷惑をおかけしました。』
「っ、別に…そンな事気にすンな。」
____あァ、もう。
いつも見ている筈の笑顔さえ直視できないなンて。
『じゃあ、いただきます。』
髪を耳にかける仕草。トーストをかじる仕草。
何もかも " いつも通り " なのに、
必要以上に意識してしまう。
『私の顔に何かついてますか?』
「え、ぁ、な、何もついてねェよ。」
『なら、良いんですけど』
……矢っ張り、彼奴の風邪がうつッたンだな。
そうだ。此れはきッと、熱のせいだ。
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「……。」
カタカタと書類を作っている時も
頭の中はAの事ばかり。
そのせいで、全くと云ッていい程集中出来ず
予想以上に時間がかかってしまった。
「もう12時か…」
この資料は午後の会議で使う予定なので、
早く芥川に渡しにいかなければならない。
俺はデスクから立ち上がり、自室を出た。
少し歩くと、見覚えのある外套を着た男が。
あれは芥川だな。
「おーい、A、ッぁああア!?!!」
廊下に俺の叫び声が響き渡る。
やべェ、やッちまった…!
勿論だが、
彼奴はAでもなく柏村でもなく芥川だ。
「どうされたのですか。」
『否、あの、その、違ェンだよ此れは』
最悪だ。
母親と先生を呼び間違える小学生かよ。
良い言い訳も思いつかず、
渡そうとしていたものを押し付け走って逃走。
…また午後に会うのに。
俺は云い間違えたことがバレていないことを
祈ることしか出来なかッた。
.
『今日のデザートは無花果ですよ』
夕食後、綺麗にカットされた無花果がのっている
透明な器を手渡された。
その時に手と手が触れ合い、
ドキッとしたのは云うまでもない。
無花果ッつッたら芥川を思い出すな…。
嗚呼、恥ずかしい。
彼奴に醜態を晒す事が多い気がする。
俺の中で一体何が起きてンだ。
無花果を口に入れながら自分の中で分析する。
この胸の高鳴りに名前を付けるとすれば、
____恋?
そうだとしたら、全部説明がつくじゃねェか。
「……マジかよ」
『?』
どうやら俺は…答えに辿り着いちまッたみたいだ。
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mikky - ギャグ線高くて面白かったです!!ニヤニヤ止まりませんでした! (2021年6月25日 16時) (レス) id: 0c37dc8e40 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - ましろさん» 更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - アヤカ★さん» コメントありがとうございます!ずーーーっと2人に幸せになって欲しかったのでようやくかけて安心しました(T_T)コメントたくさんいただけて嬉しかったです!残り1話ですが最後まで宜しくお願い致します♪♪ (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 嘘吐き姫さん» コメントありがとうございます!バラの本数まで本当は描きたかったですね笑最後までお付き合い頂きましてありがとうございました(T_T)!! (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハッピーエンド感動しました。 (2020年5月8日 18時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年8月20日 11時