守り神は隙が無いようでｰ弐ｰ【鬼滅の刃】

伍拾陸. ページ10

***






本当に情けない。





息をすることですらままならない、今の状況が。









私は隙を見せてしまった。









その隙に、善逸の方にあの蜘蛛の吐き出す毒がとんだ。









私はその毒を被った。









その瞬間、体が動かなくなった。


そしてあっという間に…クモの巣にかかった、虫みたいになった。









『……』









情けない。





なんで私は、自分のことを強いと思っていたんだろうか。






無力じゃないか。






無力だけど、誰かを守りたかった。


あの人みたいに、誰かを守れる力が欲しかった。







…強くなったつもりだったのに、結局3年前と…何も変わっていない。









善「うぎゃぁぁぁぁー！Aちゃん…！！」








『……善逸。私は……大丈夫、逃げて』







善「どこが大丈夫なんだよぉぉ？！
そんな怯えた音して言われても説得力ないよ…！！」







『……！』








……しまった、毒で中々全部消すことが出来なかった。








『善……逸……』






善「俺が助けたい！！けど弱いんだよ！！
炭治郎達呼んでくるからァァァ！」








善逸は今までに無いくらいの泣き顔で、走って行く。









「行かせないぞ？いけぇ！」





善「ヒェェェエ！！邪魔すんなよ！！
Aちゃん死んじゃうだろ？！

お前絶対嫌な奴だ！そうだお前は嫌な奴だァァァ！」






「あの女が死んで、俺に食われるのはもう決められたことなんだよ！」








ぼやける視界で見えるのは、善逸を追いかける人面蜘蛛と、それから逃れるために木に登る善逸。





………助けなきゃ






動け、私の手足。









***






俺の脳裏には、じいちゃんとの昔の会話が思い出されていた。






「しっかりしろ！泣くな！逃げるな！
そんな行動に意味は無い！善逸…！

降りてこい！修行を続けるぞ！」







善「いやもう死ぬと思うので、これ以上修行したら！！死ぬと思うのでぇぇぇぇ！！！」






「死にわせん！この程度で！降りてこいこの馬鹿者！！」







善「じいちゃん！！」








「師範と呼べ！！」








善「俺じいちゃんが好きだよお！！

惚れた女に、別の男と駆け落ちするための金を貢がされて借金まみれになった俺を助けてくれたしね？！

まあ剣士育てたかっただけかも知んないけど？！」

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