第24話 ページ24
「ねえ、何で私 蘭ちゃんの部屋にいるの?いつも竜くんの部屋で寝てるじゃん」
この家に私の部屋はない。単純に部屋数が足りないから。ただ、寝る時は竜くんの部屋を一緒に使わせてもらっている。
とはいえ、意外と一緒になる事は少ない。竜くんはクラブに行って不在だったり、私も酒を飲んでソファで寝てしまう為だ。
「あー、兄貴がここに寝かせろって言ったんだよ・・・」
「はぁ?何でわざわざ・・・」
竜くんの部屋でも問題はない。疑問が浮かぶ私、代わりに答えるように竜くんは説明してくれた。
「口止めはしたが、オレらの家が漏れる可能性は0じゃねぇ。もし襲撃でもされてみろ」
「え?ん、あー・・・私が一番に狙われるかな」
「だろ?けど、兄貴と同じ部屋なら心配ねぇから」
蘭ちゃんはお気に入りの場所がベッドと言うぐらい。同じ空間にいて私大丈夫?と不安がよぎる。
頬に大きな手が添えられると蘭ちゃんに見下ろされる。見ていると口の端をあげて妖艶に微笑んだ。
「何?嫌とか言うんじゃないよな?」
「喜んで・・・!」
「最初からそう言えばいいんだよ」
満足気に笑う姿にハッとすると竜くんの腕を引っ張った。
「待って。昨日は私のうっかりだけど、普通セキュリティで入れないよね。それに竜くんいるのに、移動する意味って・・・」
「A、諦めろ」
要するに理由はない。蘭ちゃんの指示だ。蘭ちゃんの考える事は分からない。
「蘭ちゃん、起きても私殴んないでよ」
「はっ、そんな事するわけねェだろ。馬鹿にしてんの?」
全く信用がないので少し悩むが、蘭ちゃんの手を掴むと「小指だして」と自身の小指を差し出す。
「何?」
「指切りげんまん、嘘ついたら蘭ちゃんと口聞かない!指切った」
「あ''ッ?」
強制的に指切りすると布団を被って背を向けた。めちゃくちゃ怖い声だけど蘭ちゃんは今まで私に手を出した事は一応ない。
蘭ちゃんに殴られたら一発で死ぬ。何だかんだ、優しいの知っている。
「へぇ・・・いい度胸してんじゃねェか。Aー」
ベッドが軋む音、僅かに沈んだって事は蘭ちゃんがベッドに乗ったって事。それでも知らぬ存ぜぬで寝たフリを続ける。
「竜胆、Aが助けを求めても部屋入んなよ」
「あー・・・うっす」
「ちょっ・・・待って!」
流石に飛び起きると楽しそうに笑う蘭ちゃんに目を逸らした竜くん。そして青ざめる私。長い夜の始まりだ。
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