第3話 ページ3
「いったァっ。ちょっと待って?竜くん、もういい。もう良くなったってば、ねえ・・・!」
消毒液を持つ竜くんの手を掴むと止めるように押さえた。しかし相手が悪い。力で敵うはずもなく手が迫る。
「あのなっ、傷が残んだろうが・・・大人しくしろっ。兄貴も見てねぇでAを大人しくさせてくれよ」
「はっ!?そんなのズルいって、なにっ・・・灰谷兄弟が女相手に2対1とかするわけっ?卑怯だから!」
「たかが消毒で喚きやがって。ガキだな」
「2歳しか違わないクセに、年上ぶんないでくれる?」
「てめッ・・・絶対ェ泣かす」
「はっ?こっちのセリフだからッ」
勝てる要素が一つもないのに、ここまでスラスラ煽れるのもある意味天才なのかもしれない。
間もなく押し倒される寸前、足で竜くんの腹を押しながら抵抗してると後ろから長い腕がお腹に回される。
「っ、蘭ちゃん!?やめてよっ、お腹触られたら・・・力、入んないって。あっ!」
竜くんから交代して、後ろから手を掴まれるとあっという間に身動きがとれなくなる。
この2人の息がピッタリなのは昔から知ってる。私が一人足掻いたところでどうにかなるワケはない。
「A、黙ってろ」
耳元で囁かれ、肩が僅かに跳ねた。背中からは体温が伝わってくる。この至近距離での蘭ちゃんの声はズル過ぎる。
「竜胆」
「わかってるよ」
「!?イッタァ・・・!!!蘭っちゃん、離してよ!」
「全然動いてねェぞ。ほらほら、がんばれー」
腕から抜け出そうともがいても簡単に押さえられる。私が力弱いのもあるけど、ホント・・・力強っ。
見上げて蘭ちゃんの顔を見れば、楽しんでるのが見てわかる。
「ほら終わったぞ」
「っぅ、痛かった。嫁入り前の身体、傷つけられた」
「傷つけたのはどこぞのバカ連中だろ、一緒にすんな。オレがオマエに傷つけるわけねぇだろ」
「ははっ。竜くん、私のこと好きだもんねー。
いやー、私も言えないけどさ」
「バカ、うるせーよ・・・あっ」
「竜くん、なに顔引きつらせて・・・わっ!?」
後ろから頭を掴まれたかと思えば、横に動かされて蘭ちゃんとジーッと目が合う。そして何も言わずに肩に担がれた。
「えっと、何?蘭ちゃん」
「オレの愛がわかってねーみてぇだから、教え込む」
「はっ・・・蘭ちゃんの事も好きだって、なに言ってんの!そんなの言わなくてもわかるじゃん。ねえ、竜くんっ」
「あー、オレにはムリだ。大人しく連れてかれろ」
「ヤダ〜ッ!!」
151人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ