ふざけてない。 ページ3
「ふざけてないよ。」
頭上から聞こえてきたのは、私の大嫌いなアイツの声。
「……あんた…」
私は、しばらく神崎の顔を見つめていたが、すぐに逸らし、俯いた。
「ふざけてなんか、無い。俺は、ちゃんと…」
「聞きたくない。」
「はっ?」
私は、キッパリとそう言った。
「……もう、傷つきたくないの。自己満?勝手に言ってて。私には関係の無いこと。」
あれ。
なんで私、こんな奴に話してんだろ…
「……なくなよ。」
「はぁっ?泣いてねーし…っ!」
「もう、いいから。」
そう言い、私の頬撫でた神崎の手は、濡れていた。
あぁ、私泣いてんだって。
その時、感じた。
「……もう…帰っ、て…っ」
「やだ。」
なんで、コイツはそんなに……
「なんでだよ!帰れってば!」
私の声のボリュームに、さすがの神崎も驚いたらしく、目を見開いている。
「おま…」
「神崎が行かないなら、私が行く。」
ガッチャン
神崎が中で何か言ってる気がしたけど、そんなの、気にしない。
「………っ」
また、傷つく前に引き下がる方が、効率的なんだ。泣いている暇は、無いんだ。
なのに、どうしてこうも、罪悪感というものが存在するんだろう。
私は、結局、その日は神崎の事ばかり考えていた。
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作者名:みくおん。 | 作成日時:2016年7月25日 22時