110話 独りじゃないから ページ15
Aside
目覚めは穏やかだった
鳥の鳴き声も聞こえ、少し開いた襖からは心地よい風が頬をくすぐる
…今日は、足音は聞こえない。
そして、なんとなくわかった
土蜘蛛と大ガマは、羅刹と戦いに行った
貴「……」
私が眼を覚ます前…そう。シラに身体を乗っ取られているときだった。
私はシラに身体を乗っ取られているときは、知らない暗い空間に一人、うずくまっていた
聞こえるのは、シラと大ガマたちの会話だけ
…だったはずなのに
大ガマ『どれだけAから奪うつもりだ！！』
大ガマがシラに怒鳴ったときだった
…守れなくて…すまぬ……。
貴「っ……？」
微かに、でも確かに聞こえたその声は、確かにシラの声だった
でも大ガマに言った気配はしない。
…ということは
貴「今の…シラの心の声……？」
悲しそうな、消えてしまいそうなその声は、どこか助けを求めているようにも聞こえた
…そして、眼を覚ますと朝だった
貴「……ねぇ、シラ。…聞こえてるんでしょ？」
私は天井を見つめながら私の中にいるシラに話しかけた
貴「私…わかったよ。悪いのは、シラじゃないんだよね…。本当に悪いのは、羅刹なんだよね…」
独り言のように、私は静かに、子供をあやすようにシラに言う
貴「貴女は…ずっと私を守ってくれていたんだよね…。表に出ていない間、ずっと独りで、暗くて狭くて…寂しかったよね……」
シラは返してこない。それでも私は、シラにどうしても伝えなければならないことがあった
貴「…ありがとう。私を、守ってくれて。…みんな貴女を誤解してるんだよね。貴女は、非道で冷酷なんかじゃない。…誰よりも優しいんだよね…」
貴「私は、貴女が好き。たとえ羅刹の一部だとしても、私は貴女の味方になる」
これが、私が伝えたかったこと。
貴「…貴女は、独りじゃないよ」
私の目に涙が浮かぶ。
寝ている状態なので、涙は頬をつたうことなく目の端に流れていく
…何故泣いているのか、私はわからなかった
『…我は…優しくなど、ない……！！』
貴「…シラ…？…そっか。悲しくもないのに、泣いている意味がわかった。…貴女が、泣いてるんだね……」
『たわけが…！我は…！泣いてなど……！！』
そう言う間にも、私の目からは涙が次々と絶えることなく出てくる
貴「大丈夫だよ…。私にしか聞こえないから。思いっきり泣いて？…言ったでしょ？私は貴女の味方になるって…」
『……小娘が』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「妖怪ウォッチ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レミィドール - 途中途中、泣きながら読んでいました (2019年5月3日 0時) (
レス) id: 104f8ae6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツクヨミ - 久しぶりに見ましたが、やっぱり最高です! (2018年12月21日 21時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
キリンロング - とても面白かったです〜(*≧∀≦*) (2018年7月6日 17時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
るーく - いえいえ！あの…！リクエストのことで…！土蜘蛛と大ガマ！以外でもいいですか？okでしたら…酒呑童子と…& 難蛇龍王がいいなと…思いまして…！どうですか？ (2018年4月3日 18時) (レス) id: 63408e7496 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - るーくさん» 最後まで見てくださって本当にありがとうございました！るーくさんには本当元気もらいました！なにかリクエストあったら言ってください！作品にさせていただくかもしれません！ (2018年3月30日 19時) (レス) id: 4558bdaa92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナミ | 作成日時：2018年1月8日 3時
