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優しさ ページ35

療養に慣れた頃には、炭治郎君たちは回復した。

わざわざ俺に挨拶をして任務に行き、炭治郎君はわざわざ手紙まで書いてくれる。

あの子も蝶屋敷に住んでるから手紙なんて書かなくてもいいのに、律儀な子だよな。


「暇……」


しのぶさんはまだ縄を外してくれない。


「薬を飲むお時間です」

「アオイさん、ありがとう。
聞きたいことがあるんだけど、俺の日輪刀見てませんか?」


アオイさんは身体を固めた。


「しのぶ様が持ってます。
もう稽古をさせないようにと没収したんです」

「そこまでやってくれるか……」


「ですが本当に動かない方がよろしいかと。

怪我や過呼吸になる回数が多いです。
リハビリをしても正常に動けていません。
以前より筋力が低下しているのも確かなんです」


「……申し訳ない」

「?」

「ここまで面倒見てもらってるのに、未だに食事に手をつけられないので」

「お気になさらないでください!
栄養は摂っていただきたいですが、無理に食べても美味しくないですからね」


優しくて泣きそうになってくる。


「そうだ。甘いものは食べれますか?」

「んー……饅頭とかなら」

「用意します。少しだけ待っててください」


アオイさんは台所に向かった。


「っ」


誰かに迷惑かけるくらいなら何もせずに死んだ方が楽かな。

あの時だって、
カナエが助けに来なかったらもう死ぬ覚悟だった。

今も死んだって悔いはない。

あるとするならしのぶさんに思いを伝えられないことだ。


「Aさん!持ってきました」

「おー、美味しそうですね」

「恋柱様のおすすめなんです」

「アオイさんは食べました?」

「いえ、まだです」

「一緒に食べましょう」

「仕事中なので」

「じゃあ柱命令です。一緒に食べましょう」

「ず、ずるいですよ」


結局一緒に食べてくれた。
1人で食べるのは寂しいから誰かいてくれると安心する。


「ん!美味しいですね」

「美味しいです。甘露寺さんにお礼言わないと」

「あ、こちらの饅頭はAさんの物です」


持ってきたものとは別のものをくれた。


「私やなほ、きよ、すみ、それにカナヲからです」


食べてみるといつもより美味しく感じた。


「みんな優しいですね」


人がよすぎる。



「本当にありがとうございます」




一口一口味わって食べたのはいつぶりだろう。

思いのうち→←昔の俺たちのように



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作者名:ちゃゆ | 作成日時:2021年11月29日 15時

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