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翔「ん？」
リビングを出ようと背中を向けていた翔くんが、私のほうに振り向いた。
私は迷わず駆け寄って。
キスした。
翔「………。」
「………仕返しです」
私はそれだけ言って、玄関に向かって一目散に走って逃げた。
翔「お前なぁ…！待てコラ！」
「嫌です！来ないで！」
いくら逃げ足が速い私でも、翔くんにはすぐに捕まってしまった。
翔「お前、やり逃げとはいい根性してるな」
「もう帰る……っ」
翔「何だよ、俺まじでやらかしたと思って超反省してたんだけど！お前ふざけんなよ！(笑)」
「離して……っ」
翔「離さねぇよバーカ(笑)」
もう、私、絶対顔真っ赤だから見られたくないのに。
翔くんは離すどころか、さらに強く私を抱きしめる。
「翔くんこれから仕事ですよね？帰れって言ったの翔くんですよね？」
翔「前言撤回。やっぱり帰さない」
「えーー」
翔「うるせぇ(笑)さっきまでのお淑やかキャラは何だったんだ」
いや、キャラっていうか、普段の私がさっきまでのやつなんだけど。
今のほうが照れ隠しのキャラなんだけど。
あれ、でも今のほうが素だと言われればそうかもしれない。
どっちが本当の私…？
ま、どっちでもいっか。
翔「2時間くらいで仕事終わるから。ここで留守番してろ」
「はーーい」
渋々、って感じで返事する。
本当はめちゃくちゃ嬉しいんだけど。
翔「だからその口やめろって(笑)全然可愛くないから(笑)」
「え、酷っ！」
翔「いいから。留守番頼んだ、俺はもう仕事行く」
「はーーい」
またむぅーってやりかけて、やべ、と思って唇を噛む。
翔「ぶはっ(笑)」
「今度は何ですか？人の顔見て笑わないでください」
翔「お前、俺のこと笑わせようとしてんだろ、何その顔、ふはははは(爆笑)」
「…………。」
ヒィヒィ言いながら笑ってる。
そんな変だったかな、私の顔。
翔「あー腹痛い。やべ、もう時間だわ、行ってきまーす」
「行ってらっしゃーい」
翔くんの家に来て、まさかこんな笑われるとは思ってなかったけど。
まあ、嫌われてはないみたいだから良しということにしよう。
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作者名：はつる | 作成日時：2018年6月3日 22時
