第２４夜 語り手さんと子供たち ページ42
このあいだから街に"語り手"さんが来てる。
語り手さんは、いろんな話をたくさんの人に聞かせるのがお仕事なんだって。
いつも決まった時間に広場にいる語り手さんに、友達と一緒にお話を聞きに行くの。
語り手のお姉さんの周りにはいつだって人だかりができているから、近くで聞けるのは子供の特権なんだ。
今日話してくれたのは、赤いおめめで運命？っていうのに抗う男の子達と女の子達のお話なんだって。
「追放ってどういうこと？」
『自分のいるところから追い出されちゃう、ってことかな。それで、ずぅっと、そこに戻ってくることはできないの。
それが、追放。
女の子はセカイから追放されたから、別のセカイに行ったのかもね』
「別のセカイ……」
「悲しい話だね」
『そうかな？お姉さんはそうは思わないよ』
「どうして？」
『だって、女の子の願いは叶ったんだ。
願いが大きければ大きいほどそれなりの代償だって伴うから、なかなか全部は叶えられない。
けど願いは叶えられた。
その身を削る、苦しい選択をしただろう。
悲しい思いもしただろう。
けれど、女の子はきっと、最後は幸せだったよ。自分の大好きな人達をみんなみんな、護れたんだからね』
「そういうもんかな」
「そういうもんか」
『さぁね』
「「えっ」」
「お姉さんがそう言ったんじゃん」
「そうそう」
『はは。けどこれはお姉さんの意見。
お姉さんは君達にこの考えを強制することはないし、そもそも話を聞いてどう思うかはそれぞれの自由だよ。
人に与えられた、数少ない自由なんだ。
だからね、君達がどう思ったかも聞かせてほしいな』
「俺はね！俺はっ！」
「私はね！」
『はいはい。順番ね』
自由っていっぱいあると思ってたけど、お姉さんは違うみたい。
私は自由って言葉は好き。
何でもしていい、みたいな感じだもん。
けど"何でも"はダメなんだよね。
だから言葉は好きだけどできないかも。
だって、私が好きなことしたらママは怒る。
「なんでそんなことするの」って。
「好きなことしていいよ」って言ったのに。
そういえばね、お姉さんは、近所に住む仲良しのお姉さんよりもなんだか大人だなって思う。
私たちにいっぱい優しくしてくれるのは一緒なんだけど、時々ね、遠くを見てるの。
とってもとっても遠く。
それをお姉さんに聞いたら困った顔をされたから、私はいい子だから、それ以上は何も聞かなかったの。
気になるけど、いつかわかるかなぁ、って待ってるの。
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ラディ(プロフ) - レイれいさん» コメントありがとうございます！そういって頂けて嬉しいです！お待たせしてすみません。頑張ります！ (2019年11月4日 23時) (
レス) id: 4a3262dfb5 (このIDを非表示/違反報告)
レイれい(プロフ) - とても面白いです！更新頑張ってください (2019年11月1日 5時) (レス) id: bed35b9be5 (このIDを非表示/違反報告)
ベルリラR＊(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます！本音を言うとかなり不安だったので嬉しいです！更新頑張ります！ (2017年6月11日 17時) (レス) id: 4a3262dfb5 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 話面白いです！！続き楽しみにしてます！更新頑張ってください！！！ (2017年6月11日 15時) (レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラディ | 作成日時：2017年6月9日 10時
