語り手さん【マギ】

続 第２１夜 ページ37

『………ｯ！』

「どうした？根なんてあげねェだろうな？」

『うるさい。だいたい私のが魔力使う量多いんだよっ！！お前は草でも食べてとっとと魔力回復しろっ！』

「きゃー零ちゃんツンデレ〜」

三日月のヤジに苛立ちつつ、"リンク"でミカの記憶と私の意識を繋いでいく。
"リンク"は魔力を増幅させる。君達のところでいう……ゲームのデバフってやつかな。
これがまた面倒なんだよね。
"リンク"も魔法に過ぎない訳だから、使っている間もゴリゴリ魔力減るの。

『……あと…すこしっ…………』

それと、抵抗力が働いているから。
私たちの体もそうだけど、体の中にウイルスなんかの異物が侵入してきたとき、追い出そうとする働きを持っているでしょ？
今やっているのは記憶への介入だから、ミカにとって、介入してくる私の意識も邪魔者でしかたないんだよね。

まぁ、力ずくでやるだけだけど。



『……………うぇ』

一瞬、ミカが光に包まれたのを合図に座り込む。体から力が抜けていくのがわかる……けど、早いとこ回復しないと。
この後が問題なんだし……。


「おつ」

三日月が立ち上がって私の前に来た。
ぐりぐり私の頭に拳を押さえつけると、手を差し出した。
私は手をとって立ち上がる。

『あり。
……さぁ、お目覚めだよミカ』

簡易も簡易なお礼を三日月に告げてから、ミカに語りかける。
パラパラと、砂のように消えていく黒の内側に覗いたミカはゆっくりとその眼を開いた。


＿＿プログラム起動＿＿＿
＿現在、xxx年xx月xx日xx時xx分xx秒xx
＿座標、x3562214、y583324、古代遺跡
＿パーツを確認。
＿すべてのパーツとも破損なし
＿プログラムへの介入の痕跡を発見
＿ウイルス化の修復を開始
＿修復完了
＿マスターの存在をサーチ
＿…………サーチ中…………
＿マスターの血縁者を1名、発見
＿＿＿＿スターターセット

ミカを囲うようにさまざまな文字と数字が踊る。……記憶を覗かせてもらったけど、とんだ叡智が詰まってる。こんなのが人間にいたら間違いなくバケモノだね。

＿＿インストール完了
＿＿ミカ、起動します


「$#%$&###@*※¶◯§△‡▲♯◇＆§★＠……
ｶﾞｶﾞｶﾞ……ｼﾞｼﾞｯ…ﾋﾟｯ………………
初めまして、《ミカ》と申シマす。
まず率直にお伺いしまショウ。
貴方は世界を滅ぼしたいデスか？」


金色のアーモンド型の眼が、私を覗いた。

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