語り手さん【マギ】

第１３夜 語り手さんの宮での生活 ページ20

こうして私は煌帝国の所有(？)する語り手になった。

仕事は物語の継承。

ぶっちゃけそれしかしなくていい。
楽すぎる。



「A、今夜は書庫に来るように」

『はい』


あの時は物々しい雰囲気を纏っていたのに、
いざ暮らして日常的に会う様になれば全体的にポヤンとした印象さえある。

練紅明_____あの人を簡潔に言えばそんな感じだろうか。



今夜は、ってのは仕事場所。
その時によって変わる。

聞くのは目力さん(紅炎)だけだと思いきや、
片目さん(紅明)もだし、たまに女子力高男さん(紅覇)もくる。

好奇心ありすぎだろ。



するとドｯと誰かにぶつかった。
よろけながらも、「すみませんねぇ」と嫌みたらしく謝られる。

「いえ、こちらこそ」

やんわりと笑顔を貼り付けて返せば舌打ちをして過ぎて行く。
ざまぁみろ、ツルピカハゲ丸オヤジ！

ちなみに私が何故よろけもしなかったかというと、ぶつかられると察した瞬間に魔力操作で体を堅くしたからかな。

あの憎たらしそうな顔！
あースッキリする！



この宮に仕え、住み、物語を紡いで3ヶ月。
女官のリーダー各らしい人を筆頭に集団的嫌がらせも増えてきた。
ま、大方予想はついている。

「旅の汚いげせんな者が。どうやって紅炎様達に取り入ったのかしら！？」

とかなんとかほざいてたから……嫉妬かな？
面倒くさー。


武官からは【金属器使いとの手合わせ】と称して完璧なるリンチも受けている。

「金属器使いならば兵の訓練もできますな」

とか。
ふざけんな勤務内容外だ。



これだから人の多い場所に留まるのは嫌なんだよなぁ。

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