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「ナミュール!!誰かが後方で海に落ちた、すぐに向かってくれ!!」
「っ分かった!!」
マルコの指示を聞いた八番隊隊長である魚人のナミュールが海に飛び込み救出しに行った。
…雨音と雷鳴で転落したのに全く気づかなかった。
もしもAが気づいて俺に知らせなければ、そいつは最悪の場合死んでいたかもしれない。…俺が、気づかなかったせいで…
『あっまた落ちた!!今度は二人だよ!』
「っ……泳ぎに自信のある奴は転落した奴の救出に専念しろ!!」
…また、気づかなかった。
今回のような大きな嵐に見舞われた際に海に転落して亡くなる仲間は何度も見てきた。中には転落した事にすら気づかれず嵐を抜けて初めて居ない事に気づいたことだってあった。
そういう奴らは一体どんな気持ちで海に沈んで行ったのだろうか。早く助けてくれ、何で誰も気づいてくれない、苦しい、苦しい、死にたくない…様々だろう。
Aのような状況把握に優れた能力者がいれば…いや、自分がもっとしっかりした人物であれば今回のように助ける事が出来たのだろうか。
「後もう少しだ、耐えろ!!」
「もうすぐ嵐を抜けるぞ!!」
「…」
Aのおかげで軽傷者は居るが家族を失う事はなさそうだった。今回は見送る側にならなくて良かったという安堵からマルコはふぅ、と息を吐いた。
気づけば雨風がだいぶ収まり波も徐々に安定して来ている。あと数分耐えれば…問題は無いのだろう。でんでん虫の主であるAにもう大丈夫だと伝え切ろうとした時、
『マルコ、大丈夫?』
「…あぁ、心配しなくて良いよい」
『んとね、そういう意味じゃなくて……なんというか、辛そう?』
「…大丈夫だ」
子供というのは、どうしてこうも鋭いのだろうか。
いや、そもそもAなら‘‘共有’’で感覚が共有できるのだから感情も手に取るように分かるのだろう。
マルコは「大丈夫だ」と何度も伝え、これ以上追求されぬようにでんでん虫を切った。
最後に何か言おうとしていたが、それは後で聞くことにしよう。
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マシロ_mashiro(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!やっぱり仲違いしたままは後味が悪いですもんね。最後までご愛読ありがとうございました(*´▽`*) (2023年5月8日 7時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - コメント失礼します! 一気読みしてしまいました。最終的にそれぞれの、気持ちを話し合って和解できて良かったなって思いました。とても、面白かったです!! (2023年5月7日 23時) (レス) @page50 id: 18462604da (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 文ストオタクの一般人さん» 過保護になりすぎないように執筆していたはずなのにいつの間にか…妄想って怖いですね笑、どんどん拡がっちゃいます。ご愛読ありがとうございました! (2023年3月14日 16時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
文ストオタクの一般人 - 皆過保護だけどマルコがwwめっちゃ良かった!、、、です! (2023年3月14日 8時) (レス) @page47 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 桔梗さん» そう言っていただけると執筆したかいがありました!最後までお付き合い頂きありがとうございます!! (2023年2月10日 18時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:
作成日時:2023年1月7日 15時