十七話 ページ19
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夜になって、白ひげ海賊団の人達が帰っちゃった後、私は夕飯を食べたら自分の部屋に来いとシャンクスに呼び出され、言われた通りに部屋を訪ねるとそこにはシャンクスとウタが待っていた。
その瞬間、あぁ……昼間の続きか、と頭の中がすっと冷えていくのが分かった。そして冷静になると同時に、私はシャンクスに対する失望も芽生えていた。
ずっと周りの顔色を伺って来たんだ。見れば分かるよ、シャンクス怒ってるもん。それも私に対して。つまり、未だにシャンクスはウタの嘘を信じているという事になる。子供の嘘一つも見抜けないなんて、親失格だよ?シャンクス。
「ウタに謝れ、A」
「…やだ。私はウタに取られた髪飾りを取り返そうとしただけ。なのに何で謝らないといけないの」
嘘をついたのはウタでしょ。
と、冷たく言い放てばウタは「私は嘘ついてないのに…」としくしくと目をさすった。
これも演技なのか…もしそうなら名女優になれるんじゃないかと心の中で皮肉ると同時に、そこまでして自分の面子を保ちたいのかともはや呆れさえも出てくる。対するシャンクスはウタの様子を見て怒りをあらわにした。
「…嘘をつき、妹を突き飛ばし、謝罪もしない。俺はそんな奴を娘にした覚えは無い」
「あ、一応娘って思っててくれたんだ…」
「…は?」
あぁ、口に出てたんだ…。
元々私の‘‘お姉ちゃんの仮面’’はボロボロで、いつ壊れてもおかしく無かった。そして今日、あの男の人の優しさで私の仮面は壊れ、何で今まで皆の都合の良いように振舞っていたんだろうとさえも思うようになっていた。
だけど、それでも、この船にいる間はお姉ちゃんで居なければいけない。この呪縛だけはあの人でも解けなかった。
「どういう意味だ」
「いや…何でもない。あ、そうだごめんねウタ、突き飛ばしちゃって。そんなにその髪飾りが欲しいなら
瞬間、ウタは一瞬ピタリと涙を止めたかと思うとその数秒後再びギャン泣きし始める。
だろうね、泣いていればシャンクスは自分の味方をしてくれるもんね。貴方はシャンクスに、赤髪海賊団に、多くの愛情を受け取ってきたから。だから嘘をついても疑いもされないし、何をしても許されるもんね。
「…はぁ。反省するまで外に居ろ」
「…うん、わかったよシャンクス」
…こうなる事は最初から分かってたのになぁ。
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マシロ_mashiro(プロフ) - 雪さん» ウタの姉ポジって結構流行ってたので「またか…」って思われないか不安だったんですが、そう言っていただけて嬉しいです! (2023年3月31日 23時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - イベントに参加していただいてありがとうございます‼うたちゃんのお姉ちゃんポジ結構好きなので読めて嬉しいです‼もう夢主ちゃんの心の叫びがすごく心に刺さって泣いちゃいました‼すごく面白かったです‼ (2023年3月31日 23時) (レス) @page44 id: 7fdb052437 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 白音さん» 他サイトの方は更新遅れて本当にすみません!!現在七割ほどは完成していますのでもうしばらくお待ちください! (2023年1月5日 7時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
白音 - 他サイトの方から見てました!そちらの方の更新も楽しみに待ってますね〜 (2023年1月4日 23時) (レス) @page40 id: 233ae7acb4 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 桔梗さん» 慣れない愛され?を書いたらちょっと精神年齢が幼くなっちゃいました笑。実はそろそろ溜めてた分が無くなるので更新速度は遅くなりますが、その分彼等との交流を執筆出来たらな〜って思ってます。 (2023年1月4日 20時) (レス) @page40 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:
作成日時:2022年12月18日 17時