十七話 ページ19
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エマに悟られないように周りの様子を伺ってみるけど人の気配はしない。エミリーはどこかへ行ったみたい、好都合だね
エマに再び視線を戻すと、普段は太陽のような明るい女の子なのに目には溢れんばかりの涙をためて、今にも泣き出しそうな表情をしていた
それでもその場から
「な、何の用…なの」
少しでもエマが落ち着けるよう、笑顔で優しく語りかけるように言う
「さっきは最後まで言えなかったから。その花、とっても綺麗ね。きっと貴方が丁寧に育てていたおかげね」
何とか話は聞いてくれそうだったため、さっき言いたかった言葉を伝える。
反応はどうだろう…とチラッと見るとエマは ぽかーんとしていて、こちらをじっと見つめていた
「貴方の花を踏み潰すなんてとんでもない。こんなにも素敵に咲いているのに」
…でも、ソフィアは踏み潰したんだ
私がやったわけじゃない。でも、この体がやってしまった以上私が謝らないといけない
変って思われてもいい。私はエマに向き合うと、深いお辞儀をして謝罪した
「今までの事を謝らせて欲しいの。…本当にごめんなさい」
「…っえ、あ…え…っと」
まだ理解が追いついていないのか、エマは困惑しながらオロオロとするばかりである
「許してなんて言わない。すぐに信用にしてとも言わない。一からやり直しをさせて欲しいの」
(エ、エマはどうすれば良いの…?これは罠?それとも本心?……分からないの)
「…ご、ごめんなさい。まだいきなりは…無理なの」
私から目を逸らして、申し訳なさそうにそう言った
本当ならちょっと悪い展開でもっとネガティブになってしまいそうな場面だけど、私は違った
会話を成立させることが出来た
話を聞いてくれた
たったそれだけだけど、この事実は私にポジティブな思考をさせるのに十分だった
「…ありがとう、エマ」
とりあえずはこれだけで良いだろう
あまりやりすぎると墓穴を掘りそうだ
"じゃあ" とだけ言って笑顔でその場を去ろうとする
すると、エマが初めて自分から話しかけてくれた
「ま、待って…なの」
まだ少しビクビクしているけど最初と比べたらだいぶ警戒心は薄れたみたいで、今度はしっかり私の目を見てはっきり言った
「あ、明日…また来て欲しいの」
答えはもちろん決まっている
やっと大きな一歩を踏み出せた
「もちろん。またね」
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いちゅご - うっわぁー、今作もなかなか素っ晴らしい作品ですことぉ、いやー頑張って下さい!応援しますね! (2021年12月8日 6時) (レス) @page37 id: 64d6b8d47d (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 面白いです!前作から来ました!今作も更新頑張ってください!応援してます! (2021年12月7日 19時) (レス) @page36 id: f8a065d408 (このIDを非表示/違反報告)
水1000 - 新作おめでとうございます。前作と対照的なんですね。とても素敵です! というか、好きです。更新は無理せずにのんびり頑張ってくださいね。 (2021年12月4日 13時) (レス) id: 7eeeabd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
シロツメココロ - 大変遅くなりましたが、新作おめでとうございます! ストーリーがとても素敵で引き込まれるような…面白い作品です。更新頑張ってください。私も学生なので、無理にとは言えませんが (2021年12月4日 12時) (レス) @page21 id: 17dcd8da60 (このIDを非表示/違反報告)
焙じ茶 - とってもとっても好きです、、!更新楽しみに待ってます、頑張ってください! (2021年11月29日 17時) (レス) @page24 id: 0167f82c96 (このIDを非表示/違反報告)
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