＿四十八訓 ページ49
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「えぇ、団長が仕事してる？」
「殺すよ？」
夕方、千和を送っていたAは第七師団に戻るとばったり会ったしまった阿伏兎に紙束を渡され、それを片付ける為食堂にやってきた。
そこには偶然いた神威もくるくるとペンを回しながらAの倍の数の紙を横に置いている。
神威はAに今まで何してたのかを聞く。
「泣きぼくろの家行ってた」
「え、二人で？」
「……そうだけど？」
どうせ高杉とイチャついてたんだろうと予想していたが外れたらしい。隣に座ったAの肩に顔をうずめてどこか落ち着く甘い匂いを吸い込んだ。
何故こんなにもイライラしたりほっとしたり、自分の心がコロコロ変わるのか分からない彼は少し昔のことを思い出してAに聞いた。
「Aってさ、自称物知りじゃん？」
「自称じゃなくて本当だし。それで？なにか聞きたいことでもあるの？」
Aの言葉に神威は続いて口を開く。
「とある人が一人いるとするだろ？」
「うん」
「でもその人が男女問わず誰かと関わってたらなんか胸糞悪くなる」
「うん」
「でも独り占めしてる時はほわほわして、なんか他の事がどうでもよくなって、」
「ちょっと待って」
神威の口を小さな手で塞ぐ。自分が話してるのを止めれて少々不機嫌そうに眉を寄せた。
目を見開く彼女の顔に、神威は首を傾げる。
「恋って言葉を知らない訳？」
「そんなの無縁だったからね。血なまぐさい第七師団でそんな話出てこないって」
「…………」
男むさい第七師団で長い間育ってきた神威にとって、縁遠い存在だったその感情。
Aは、小さくため息を吐いて手に持っていたペンを机に置いた。
「団長はその人のこと好きなんじゃない？」
「………は？」
｢(俺が？Aのことを？)｣の悶々と頭の中で考える。そしてハッとした。
「……いや、俺の事じゃないから」
「(嘘が下手だな……)」
まぁいいやとAは阿伏兎に出す書類を手に立ち上がった。その後ろ姿を神威はじっと見つめ、自身の胸に手を置いた。
チラリと嫌な紙束にを目にやる。そこにはとあるこれからのことについて書かれてあった。
「将軍暗殺…か、面白ければいいけど」
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水渚桃華 - 七瀬未来さんへ まだ少ししか読んでないですがこの作品面白いです。更新待ってます。 (2020年2月20日 17時) (
レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なな | 作成日時：2020年2月18日 19時
