食事*38* ページ38
「正直、俺は君を侮っていたよ。上も諦めていたからね・・・きっととっくに彼らに食い殺されていると思い込んでいた」
『・・・・え?私、ですか・・・?』
「ああ。・・・・だが、君はまだそうして生きている。大倶利伽羅はともかく、鶴丸国永が見逃すとは本当に意外だったよ。結構強力な匂いだったはずなんだけどね」
長義さんが笑うと、鶴丸さんはまだ不機嫌そうに目を伏せた。
「勘違いしないでくれ。確かに俺は欲望に忠実だ。だがこれでも、こんな存在を受け入れてくれる場所があるもんでな。それを自ら捨てるほど馬鹿じゃないさ」
「ふっ・・・君のような異様の存在を受け入れる場所?笑わせてくれる。異端はいつまで経っても異端だということをそろそろ理解したほうがいいと思うが・・・まぁいい。今日は帰らせてもらおう」
チラッと私に視線を移し、またすぐに逸らして歩き出した。
その表情はどこか楽しそうで。
「ふふ・・・・・ああ・・・本当に面白いな、雪野A。“彼女”の言う通りになってしまったのが少し悔しいが・・・まぁ、同じ審神者だからこそ分かったのかな。なんにせよ、まだ楽しませてくれそうだ」
『・・・?彼女・・・・・?』
「今はまだ無理かもしれないけど、いずれ会うことになるかもしれないな。・・・・その時まで君が生きていればの話だけれど」
不穏な笑みを残し、長義さんは帰ってしまった。
彼の言っていた審神者が気になるけど、それよりお礼を言わないと。
お礼ってほどのことかもわからないけど・・・・。
『あの、ありがとうございました!』
「・・・?何がだ?」
『あの、あの時私を庇ってくれて・・・でも私、』
「“別に鶴丸に食べられても構わなかった”・・・・・か?いつになったらその人をイラつかせる発言を控えるつもりだ?」
「まぁいいじゃないか、加羅坊!そんなに冷たく言わなくても」
ふっ、と鶴丸さんから表情が消えた。
本当に、まさに“無”の表情。私は思わず唾を飲み込んだ。
「だがまぁ・・・これで分かっただろ?俺は嘘つきなんだ。この本丸では一番の、三日月よりも、光坊よりも、貞坊よりも・・・・ああ、違う。あいつらの口から出る虚偽は“おいた”にもなりやしない。誰かの為に吐く嘘が罪深いわけがないんだ」
『鶴丸さん・・・?』
「結論を言うとな?雪野A。結局あいつらは、お前のことを一ミリだって信じてやしないんだ」
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みかづち(プロフ) - 雨蛙さん» ありがとうございます!更新頑張っていきます!! (2019年6月1日 21時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙 - 本当におもしろいです!久しぶりにこういう話を読んだので続きが気になります(///∇///)更新頑張ってください!! (2019年5月19日 18時) (レス) id: 43a251e5e3 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - 緑@最推し信濃さん» ありがとうございます!更新頑張ります!!(`・ω・´)ゞ (2019年5月4日 11時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
緑@最推し信濃 - めっっっっちゃ、面白いです!!!更新頑張って下さい!応援してます(^o^) (2019年5月4日 8時) (レス) id: a246b0d986 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - みるくてぃ@毒占欲の人さん» そう言っていただきとても嬉しいです!!もう一つの方も頑張って更新します!!! (2019年1月12日 18時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかづち | 作成日時:2018年12月20日 21時