食事*39* ページ39
コトン、と隣にお茶が置かれる。
持ってきてくれた人達は私の様子を見て、困ったように眉を下げた。
「主、元気出して?」
「そうだぜ!主にそんな顔は似合わないって!!」
『・・・・・』
二振り・・・・もとい、燭台切さんと太鼓鐘さんは気まずそうに視線を逸らした。
「あー・・・・・・悪い・・・。そう、だよな・・・・俺達のこと、今更信用しろなんて無理な話だよな・・・・鶴さんから全部聞いたんだろ?俺達が本当は主の命狙ってたってこと・・・・・・・」
太鼓鐘さんはばつが悪そうに笑った。
そして私の前に来、いつもの彼からは考えられないほど深々と頭を下げる。
私は驚きすぎて、思わず彼の肩を掴んでいた。
『やっ、やめてください!何もそんな・・・・!!』
「あんたは俺らを信じてくれてた・・・・なのに、なのに俺らはあんたが妙な真似したらすぐにでも首を掻っ切ろうと機会を伺ってた・・・!」
『っ・・・・・』
「俺らのことは恨むなり、殴るなり・・・なんなら、折るなりしてくれていい・・・・・!」
「!?貞ちゃんッ!!!」
『・・・え・・・・・!?』
「あんたの好きにしてくれよ・・・・」
静かに目の前に置かれた本体は、資料で見たものと全く同じで・・・・
普段なら「かっこいい」と興奮するところなのに、今はひどく小さく見えてしまう。
私は、覚悟したように目を瞑る太鼓鐘さんに本体を突き返した。
「・・・・・え?」
『今までこの本丸が“そういう扱い”を受けて、その常識が身に染みてしまっているのは承知です。・・・・・でも、お願いだから・・・自分を、安売りしないで下さい・・・・!』
「安売りって、俺は、」
『貴方にとって本気でも、周りからすれば安売りに見えるんです。「本体を差し出せば事が済むと思っている」と』
「っ・・・・・」
『・・・・すみません、こういうことが言いたかったわけじゃなくて・・・。その、誰かの為に自分を犠牲にする心は、とっても素敵です。でも・・・残された側の気持ちはどうなるんですか・・・・!?』
私の発言に、太鼓鐘さんは目を見開いた。
「・・・・よく人のこと言えるな・・・」
『え?』
「なんでもない!・・・分かった、確かに早計だったな」
燭台切さんは心底ほっとしたようにため息を吐く。
そして頬を膨らませて彼の頭を軽く叩いた。
「もう、貞ちゃん!」
「ご、ごめんって・・・!」
212人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みかづち(プロフ) - 雨蛙さん» ありがとうございます!更新頑張っていきます!! (2019年6月1日 21時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙 - 本当におもしろいです!久しぶりにこういう話を読んだので続きが気になります(///∇///)更新頑張ってください!! (2019年5月19日 18時) (レス) id: 43a251e5e3 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - 緑@最推し信濃さん» ありがとうございます!更新頑張ります!!(`・ω・´)ゞ (2019年5月4日 11時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
緑@最推し信濃 - めっっっっちゃ、面白いです!!!更新頑張って下さい!応援してます(^o^) (2019年5月4日 8時) (レス) id: a246b0d986 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - みるくてぃ@毒占欲の人さん» そう言っていただきとても嬉しいです!!もう一つの方も頑張って更新します!!! (2019年1月12日 18時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みかづち | 作成日時:2018年12月20日 21時