8UPPERSのセカイ（eight） (ページ8)

今日:4 hit、昨日:13 hit、合計:56,769 hit

8 ページ8

・

諸々が片付いた後、僕はまたクラブのカウンターの隅で食事をとるようになっていた。

『ちょ、ちょっと！！』

…こうやって、この子が来るのを待つために。

「どうしたん？そんなに血相変えて」

『…だ、だって、…だって、お、』

「ストップ。…後一口やから、待って」

そう言うと、その子の前にタイミング良く飲み物が置かれる。

…こういうところはさすがジョニー。頭が下がるわ。

仕方がないと思ったのか、その子は乱暴にイスに座るとその飲み物に口をつけてビックリしてる。…きっとジョニーがお酒を入れたんだな。この後、シラフじゃいられない話になるってわかってて。

僕は、その子のほっぺがみるみるうちに赤くなり、涙がほろりと溢れるのを、残った青椒肉絲でご飯をかきこみながら横目で見ていた。

「……、ん。ごちそさま。」

お箸を置いて手を合わせると、またジャッキーがトレーを下げてくれて、ジョニーが「お茶飲む？それともアルコール入れてみる？」って聞いてくる

「じゃ、…ビールをちょこっと。」

「…そうなんや」

ああ、ジョニーの悲しそうな目。

そうなんよ、この僕がお酒を飲まないといけない事態なんだよ。

ジョニーは小声で「無理したらあかんで」って言いながらコトンとグラスを置き、僕は味がわからないようにそれを一気に流し込む。

そして…、、、静かに表に出た。

『待って！待ってよー！！』

何も言わなくても付いて来るだろうとは思っていたけど、遅かったな。

…まぁ、しゃーないか。きっとめちゃくちゃ度数があるやつを飲んだんやろうから。

「武士の情けやで？」

僕は目の前の木々に囲まれた暗い公園に入ると、遊具に浅く腰をかけその子の到着を待った。