8UPPERSのセカイ（eight） (ページ9)

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ふらふらと近づいて来るその子は、途中でヒールを脱ぎ捨てた

そら、そうやろ。見るからにまだ慣れてへんし、その上千鳥足やねんもん

最後には、とうとう僕に飛び込む格好で抱きついてきて『何したの？！』って叫び出した

「何、って？」

『父親が、…パパが、死んだって！』

「よかったやん。居なくなって欲しかったんやろ？」

『…そ、そうだけど！』

「なんや後悔してるん？…じゃ、次に仕留めようと思ってた母親の方はやめた方がいい？」

『…やっぱりアンタの仕業なの？！やめて！！あたしからママを取らないで！！(涙)』

「…なんで？あんなに嫌ってたやん」

『それでもあたしにはたったひとりのママなの！！』

「ふぅーん。」

なーんだ。

不倫の子供って、親が生きててもいい事ないんだって思えたのに。

…やっぱり生きてる方がいいんじゃん

「…いいな。親が生きてるって」

『はあ？』

「あ、ごめん。こっちの話。…あ、そ。母親はヤらない方がいいんだね」

『お願いします！あたしをひとりにしないで下さい！』

「じゃ、ヤメるから、交換条件で君の目をくれる？」

『え？』

「だって、いくらでも明るい所で暮らせるのに、好き好んでこんな暗い場所に来るんでしょ？だったらその目、要らないじゃん。光が見えない僕に、その目ちょうだい」

『や、…ヤだ！！目が無くなるなんて、何も見えなくなるなんて絶対イヤー！(涙)』

「あれもイヤ。これもイヤ。困った子だね」

僕は抱きついているその子の頭を優しく撫でてから…

乱暴に前髪を掴んで、引っ張っり上げた

『！！』

「なんでも手に入るのに、自ら不幸に足を突っ込むな」

『……は、はい』

ふふ、ガタガタ震えてる。怖いん？…僕だってさ毎日フワフワしてるワケやないんやよ？

「わかったら早よ去(い)ね。二度と来んな」

掴んだままの髪を捻ってから思いっきり向こうに押すと吹っ飛んでっちゃった

「あ、ゴメンゴメン」

『いや、…いや、来ないで！！だれか、誰か助けてー！』

…だから、僕が助けてあげようとしたのに。

「最近の子はムズカシイね」

いつからか木陰で様子を見ていたジョニーに声を掛け、僕は歩き出す

あ、

「ジョニー？因みに、僕、父親もヤってないよ？昏睡させただけ」

ジョニーはそれを聞いても、わかってるって顔をして微笑んだだけだった

end