なりたい自分 ページ37
「イナリはこれからどうしたいの」
未だに泣いてるイナリに内心苛立ち始めたので
さっさと泣き止ませてさっさと帰らそう、という結論に至った
「...いつまでそうやって泣いてる気？
泣いたって時は戻らない
泣いたってただ虚しさが増すだけ
そんなこと、もうとっくに気づいてるでしょ
なら
いつまでも同じ場所で
膝抱えて泣いてるだけじゃ前に進まない、てことくらい分かるはず」
イナリが顔を上げ
私の顔を見たのが視界に入った
「人の手足は
ただ存在する物や道を
触る、歩くためだけにあるんじゃない
カイザの手は
この町を守るため、
カイザの足は
町の人々の未来を背負って歩いて行くためにあった
イナリ
アンタの手足はなんの為にあるの──────」
雲一つない満点の星空
こんなにも壮大な大空に、綺麗に輝く沢山の星を見ていると
人間の悩みなど、ほんのちっぽけな塵のように思えてくる
ｲﾅﾘ「僕、強くなりたい...
強くなってガトーを倒して、
父ちゃんが守ってくれたこの町を
今度は僕が！
僕の手で、僕の足で守りたいｯ
僕もこの町の
そう、海に向かって叫んだイナリは
数分も経たないうちに眠りこけ
私にもたれかかってきた
人間嫌いな私は
イナリをそのまま海に突き落としてやろうかと思ったが
よく考えるとコイツは今回の依頼人の孫
突き落とした、となれば後々厄介になる為グッと堪える
ｶｶｼ「へ〜、カルナって案外子供に懐かれやすいんだネ
あ、そういや子守り任務の時も
どんな赤ちゃんでもお前が抱くとすぐ笑顔になってたしなｧ
...この前は動物にも懐かれてたっけ？」
...いつから居たんだお前。←
流石上忍
気配一つ感じなかった、と驚きつつ
「カルナには子供や動物にしか見えない、優しいオーラがあるのかもなｧ」、と
独り言をぶつくさ唱えている先生にイナリを放り投げる
ｶｶｼ「ううぉ、ちょｯ、危なｯ！？」
「ナイスキャッチ
じゃ、ソイツ連れて帰って。」
「人使い荒すぎでしょ」とか、なんとか言ってる先生を尻目に目を瞑る
『僕の手足で守りたい』
『
それじゃダメなんだ
守りたい、じゃなくて"守る"
なりたい、じゃなくて"なる"
そう言った方が人間、なりたい自分になれるもんなんだよ
ナルトみたいにね────
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星音 | 作成日時：2019年2月8日 21時
