31話 ページ33
Aが意識を失った直後、つかさと言う少年は花子に抱き着き、猫のように甘え始めた。
光はAを抱きかかえてつかさを睨む。
「 お前、ミツバの次は先輩かよ…!
いい加減にしろ、先輩まで巻き込むな!」
「 俺はあまねの新しい助手が気になったから様子を見に来ただけだよ?
そう言えば前の子はどうしたの?
飽きちゃった?」
子供のように無邪気にそう述べる彼には罪悪感何てものはあるはずもなく、自身の腕の中にいる花子へ問うた。
花子は、その話はしたくないと言うように顔を逸らして、つかさを引き離すとAの傍へ寄る。
「 へぇー、身代わり?
あの子の寿命と自分の寿命を入れ替えたんだ?
あまねはその子よりあの子が長生きする事を望んだんだ?」
「 違う、俺はヤスミを助けてみせる…、絶対に… 」
つかさに言われた事が半分正論だったため、少し言葉が詰まる花子。
「 そっか、じゃあまたね、あまね 」
クスクスと笑いながら黒い煙を纏って消えたつかさ。
光と花子は暫くの間その場から動くことが出来なかったが、Aを保健室へ連れて行こうと花子が光へそう促した。
彼女が意識を失ってだいぶ時が経ったがまだ目を覚ます様子は見られない。
心配そうに彼女の頭を撫で、光は帰宅した。
花子は彼女の傍を一時も離れることなく、首に残った指の痕を悔しげになぞった。
「 ねえ、ヤスミ、俺以外にヤシロの寿命について知ってる人いないと思ってたし、その事で悩んでる人がいるなんて思いもしなかった
驚いたよ、君が自らの命と引き換えにヤシロの寿命を伸ばして欲しいだなんて、無茶苦茶だよね
ヤスミ、まだ死ぬ時じゃないでしょ、お願いだから目を開けてよ… 」
Aの右手を両手でぎゅっと握り、縋るような声で1人呟く花子。
その呟きは誰かの耳に入ることなく、ただ夜が更けていくだけだった。
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ちゅんちゅん、そんな可愛らしい声が聞こえ、朝かと目を開ければそこは自室などではなく学校の保健室であった。
驚きを隠すことなく、当たりを見渡すと、自分のすぐ近くには体が半透明に透けている彼が眠っていた。
幽霊も寝るんだな、何て呑気なことを考えながら頭を撫でてやろうと右手を動かそうとすればそこには、花子くんの手があった。
しかもお互いがしっかり握りあっている。
ぶわっと顔に熱が集まるのがわかり、1人でわたわたしていると、花子くんが目を覚ました。
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人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます! (2020年8月21日 18時) (レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです!更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:人参ぱんつ | 作成日時:2020年4月22日 1時