先輩、俺のオメガでしょ？ (ページ10)

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聞きたいことページ10

ym side

「伊野尾せ…いのおちゃん？何？聞きたいことって」

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『… ごめん、やっぱいいや、なんでもない』
「え？」

やっぱいいやって何？
あんな顔しといて、何も無い訳ないのに

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「ねえ、」
『大ちゃん下で待たせてるし、俺先に帰るね〜』

こっちが聞き返す間も無く、足早に立ち去ろうとする彼を黙って見送ることは俺には出来なくて。その細い手首を掴んで引き止めてしまった。

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「俺に何聞こうとしたの？気になって仕方ないんだけど」

『… 大したことじゃないから』

そう言葉を濁す伊野尾ちゃんからは、何も聞かないでくれというような圧を感じる。俯き気味の横顔から覗く表情もどこか切なげで。これ以上踏み込める空気でもなく、彼の手首をそっと離した。

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『じゃあね、山田。また明日』

2人の間を漂う重い空気感を和らげるように優しく笑って此方に手を振る様子を、そのまま帰っていく華奢な背中を、ただ見詰めることしか出来なかった。