お誘い ページ24
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その日以来、夏休みのほとんどを山田と一緒に居たような気がする。
山田の、身長差あり過ぎる友達2名様が "番祝いのパーティin山田の家"まで企画してくれて。パーティって言っても俺ら含めて参加人数4人なんだけど、めちゃくちゃ楽しかった。山田の友達の 知念と裕翔、すげえいい子だったし。
ショッピングモールに行った時は 山田のセンスの良さに感嘆しながら服選んでもらったり、フードコートで生クリームと苺山盛りのパンケーキに目を輝かせてる姿をこっそり写真に収めてやったり。
「うちに泊まりなよ」ってお誘いで家にお邪魔した時は 料理まで作ってくれて、それがマジで美味くて。部屋に無造作に置いてあったテスト用紙も90点超のやつばっかで、顔も性格も良くて、料理も出来て、センス抜群で、おまけに頭までいいのかよ！っていう。それを本人に言ったら耳真っ赤に染めて照れてんの。まったく、可愛いヤツめ。
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こんな高スペックな人が俺の番だなんて未だに信じられないもん。
2人で過ごす時間が増えていくにつれて、山田の色んな一面を、素の部分を知っていくにつれて、好きも増していく。… 君もそうだったらいいな、なんてね。
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「伊野尾ちゃん、明後日の夏祭り一緒に行かない？」
『あの川沿いである花火大会？』
毎年8月末に行われてる花火大会。もうそんな時期か、と いよいよ夏休みも終わりが近づいていることに気付く。
『いーよ、山田のお誘いなら何処へでも〜』
「何処へでもって相変わらず適当だなぁ」
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2人掛けのソファ。隣に座っている山田の肩に片腕を回して此方に軽く抱き寄せてみる。
『すげえ楽しみ 、山田と花火見れんの。』
「ん、俺も。」
そう言いながら不意に ちゅ、と頬に口付けられた部分に熱が集中する。
番になって3週間近く経とうとしてんのに全然慣れないんだよ、好きな人から愛されることに。触れられた部分が熱くて、溶けそうで、その度に俺のオメガが溢れそうになって。
「伊野尾ちゃん、顔真っ赤。」
『うるせ』
「そういうとこも 可愛いよ」
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あーもう、俺の心臓が持たねえわ。
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このまま幸せが続いてくれるなら、過去の苦い記憶だって忘れられんじゃないか。あのネックレスも、捨てられるんじゃないか。
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毎日のように そう思ってたのに、
花火の音が夜空に轟くあの日、
どうして 君は俺の前に姿を現したの＿＿＿＿
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作者名：猫 | 作成日時：2023年3月1日 20時
