ありひか相談所 ページ12
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あれからずっと山田に聞こうか聞かまいか考えていたら 一睡も出来ずに朝を迎え、授業中も見事に爆睡。今まで居眠りなんてしたことなかったから、先生には心配される始末。
八乙女「具合悪い?授業中に寝るの珍しいな?」
担任の光。光はβで、話しやすい上に面白いから今年の担任は当たりだ〜って喜んだんだよね。最初の方は ちゃんと先生付けろって怒られてたけど 今はもう本人から許可貰った(はず)
『いや、具合は悪く無いんだけど』
八乙女「悩みでもある感じか?」
有岡「伊野ちゃん?どうしたの」
いつの間にか隣に居た大ちゃんも話に加わってきたけど、どう答えたものか。さすがに山田の名前は伏せるにしても、どう言ったらいいんだ?運命の番が〜って?… いやいや、なんなら2人ともβだしな。
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『んー…』
八乙女「言い難いことなら無理して言わないでも、」
『自分のことどう思ってるか聞きたいけど、ビビって聞けない…的な?』
有岡「え、伊野ちゃん好きな人でも出来たの?」
八乙女「恋の悩み?」
恋、じゃないと思うんだけどな…
難しい、言葉での表現じゃ語彙力に限界がある
『恋というかなんというか…うーん、』
八乙女「… でもそれって結局は聞かなきゃ分からないよね 」
有岡「友達に代わりに聞きにいってもらうとか?けど、やっぱ自分で聞くに越したことないと思うな 」
『そうなんだよね〜…ごもっともです』
もし嫌いって言われたら 俺立ち直れる気しないんだけど?なんて頭の中でぐるぐる考えていたら、それが全部顔に出てたらしく、背中をトン、と叩かれる。
有岡「振られたら俺が慰めてやっから!」
八乙女「ん、また何かあったらいつでも相談乗るよ?」
『ありがと、てか振られる前提やめろ』
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思い切って聞くしかない、か。
2人のお陰で、昨日よりも勇気が出た気がする。
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『俺 顔洗ってこようかな、眠すぎる』
有岡「次の授業1階だから先行っとくね!」
八乙女「遅れるなよ〜?」
『ほーい』
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次会った時こそは 、ちゃんと聞けますように。
洗面台で冷たい水を顔に浴びる。頭も目もいい感じに冴えてきたところで、休み時間が残り1分もないことに気付く。あれ、次の授業って1階であるんだっけ…?
遅刻確定を悟った俺は急ぐ気も起きず、先生への言い訳を考えながら のんびりと階段を下りていた。
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「伊野尾ちゃん?」
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次会った時 、は思ったよりも早く訪れたみたいだね。
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作者名:猫 | 作成日時:2023年3月1日 20時