【文豪ストレイドッグス】太宰治に貢ぎたい

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唖然とする樋口さんに私は言葉を続けた。


『この時間自体、正直無駄何だしさ！ぱぱっと伝言伝えて仕事に戻るよ』


治君に、ポートマフィアに戻る気は無いか？と言ったところで即刻拒否されるのは目に見えている。
ならば、名残惜しいがすぐ言葉だけを伝えて他の仕事に専念したい所だ。


「……、わかりました。首領より、貴方に伝言を預かって来ました


《太宰君、ポートマフィアの幹部に戻る気はないかね？》と」


すう、と治君の目が細められる。


「あなたの記録を見ました。
あなたの血はマフィアの黒です。この国の誰よりも…」


「人は変わるものだ。
現にそこの銀ちゃんだって、昔はこーんなに小さくて可憐な少女だったのだよ」


このくらーい、と腰より少し高いくらいの所に手をやり治君は笑う。
今では立派な暗殺者になった彼女は昔は本当に大層愛らしい少女だった。
あのまま成長してくれているのならば大和撫子のような美しい女性になっているだろう。



「話をすり替えないでください」


あら、可愛い。

服装に似合わずの鈴のような可憐な声にホッコリと癒された。

樋口さんは銀が女の子だとは知らなかかったのか驚いた様子だ。
この子、さっきから驚いてばかりだな。私のせいでもあるけども。


「然し、腑に落ちないねぇ。Aが言った通りこんな茶番に人員を割くなんて」


確かに、それは私も思っていたところ。




「貴方を守る為です。



ーーー首領はＱを座敷牢から解き放ちました」



『は？』



今、なんて言った？



「バカな…何を解き放ったのかわかっているのか？
Qは敵も味方も全て滅ぼす歩く厄災だ」


かつて、その異能によって多くの構成員達が地獄を見た。




「なぜQが座敷牢に封印されたと思う？

異能力の中でも最も忌み嫌われる、精神操作の異能力者だからだよ」



頭が痛くなってきた。

確かに、ああ確かに最適解だ。
Ｑに掛かれば嘸かし敵の地盤を揺るがすのは楽だろうさ。

敵味方無差別でその異能が振るわれなければ。



「ただし人形が破壊された時、呪いを受けるのは受信者のみ。受信者になる条件はQを傷つける事…
ここに来た時、私を守る為と言ったね？

…しまった！」



踵を返し、この場を立ち去る治君に私は言葉掛けずに頭をかいた。


『帰ります』


「…伝えられていなかったのですか？」


『知っていたら、先程の時間稼ぎに茶々は入れなかったよ。御免ね二人共』



困った、と笑って私は訳を聞きに首領の元へ向かった。

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