人形の魔女と蒼目の蛇 2

43曲目:師と弟子 ページ9

Noside

日の光が柔らかく差す作業部屋で一人の女性が作業し、その手元を少年が覗き込んでいた

「いい？魔道人形を作るコツはね、「仲良くなりたいな〜」って思うことなんだよ」

茶髪に茶目を持つ女性は子どもが抱きかかえられるほどの大きさの人形の服を整えた

『...魔法の使い方じゃないの？』

女性の言葉に赤髪緑目の少年は無表情の中にも不思議そうな表情を浮かべて尋ねた

「それは大前提！そうじゃなくて...う〜んなんて言うのかな〜？」

案外鋭い指摘に女性は本気で悩む。彼女にとって魔道人形を作ることはそれこそ「天職」とでも言うくらい向いていたのだ。いわゆる天才である

一方で少年は女性とはちがう魔法の使い手であり、彼は魔道人形を作ったことがない。だから女性の言うことが理解できなかった

「と、とにかく！「仲良くなりたいな〜」とか、「一緒にいたいな〜」って思いながら作るとね？いい子ができるんだ！」

無理矢理結論を出して女性は人形の額を指でつつく。すると人形は、まるで本物の子どもが笑ったように微笑んだ

『...難しい』

「その内わかるよ、スレイくん」

女性は少年ーーーーースレイの頭を優しく撫でた

ーーーーー
作業部屋... スレイside

『ん...』

寝てた...？あぁ、最終調整でミスったらまずいから休憩したら寝ちゃったのか...

にしても、なんであんな昔のことを...寝不足と、やっぱりあんなところにひさしぶりに行ったから、かな

『師匠...あなたの言ったこと、少しは理解できるようになりましたよ』

昔もらった道具一式の中からやすりを取り出して丁寧にかける

あなたが残した、目も髪もなにもない、マネキンのような人形を「ソーマ」として作り上げたときにわかったんだ

...あなたも、隣人を欲する寂しい人だったことを。僕を拾ってそれが消えたことを

『.....よし、あとは』

作業のために外しておいた魔石を箱から出して、ソーマの両面にあたる窪みにはめる

そして、師匠のときから変わらない「起動」の呪文を唱えた









『...éveil』

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