５０呪目:少女悪魔と夜闇の魔王 ページ16
数ヶ月後... Noside
『零...来てくれてありがとう。忙しいだろうにごめんね？』
零「なぁに気にするでない、都合などいくらでもつけられるからの...だからゆっくり静養しておくれ、千景」
零が千景の元に訪れ、何度も来るようになってから数ヶ月。季節は秋から...森の木々の新芽がつきはじめた春に近い冬になっていた
その期間を経て...千景は、ベッドから出るのも一苦労な身体になりほぼ寝たきりの生活を送っていた
起きている時間よりも寝ている時間が増え、咳き込む回数が増えていた...残された時間は、長くない
『...ごめん、少し寝てもいいかな...？来てもらったのに...ごめんね？』
零「気にするでないよ...ゆっくりおやすみ」
零の了承を得た千景は穏やかな顔で目を閉じて眠りはじめた...その顔は、まるで紙のように真っ白だった
ーーーーー
リビング...
沙羅「...お兄ちゃんは、寝ましたか？」
零「あぁ...ぐっすりな」
リビングへと戻った零は沙羅の前の席に座り、言葉を返した
沙羅の目は、軽蔑と憎悪の宿った暗い光が宿った濁った目をしていた
沙羅「眠る時間が増えました」
零「そうか」
沙羅「このままだと、桜の季節まで生きていられるかわかりません」
零「...そうか」
沙羅「...あなたのせいです。あなたがお兄ちゃんを契約なんかで縛りつけたせいで！！」ｶﾞﾀﾝｯ！
荒々しくイスから立ち上がった沙羅は零に近づき、服の襟を掴むと普段の彼女からはかけ離れた様子で怒鳴りはじめた
沙羅「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い！！あなたなんかだいっきらい！なんであなたが生きてお兄ちゃんが死ななきゃいけないの！？あんな呪いをかけられるならお兄ちゃんにかけた呪いを解いてよバケモノ！！」
まるで、これまでの十一年間の思いの丈をぶつけるかのように
零「.....「死んでくれ」とは、言わないのじゃな」
沙羅からの非難を甘んじて受けていた零の、静かな正論に腕に入れていた力を抜いた沙羅は糸が切れたようにボロボロと涙を溢しはじめた
沙羅「っ...だって！それがっお兄ちゃんが一番悲しむことで...！それだけは望んじゃいけなくてっ...お兄ちゃんが死んじゃやだぁぁぁぁ！！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ
長い間押し留めていた思いの丈を、泣き叫ぶようにしてぶつけられた零は
零「すまぬ...！謝って許されることではないことは重々承知じゃ。じゃが謝らせてくれ...！」
その少女の叫びを、涙を、受け止めることしかできなかった
...
『...沙羅、零さま』
それを聞いていた千景は、なにかを決心した顔つきになるとゆっくりとその目を閉じた
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夜桜ナイフ - おォ！そうだったんデスか！謎がとけてスッキリシマした。説明していただきありがトウございまシタ。 (2019年7月31日 9時) (
レス) id: e71f9e4ab9 (このIDを非表示/違反報告)
カトレヤ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» 一応主人公が戻ってきてくれたので「お帰り」と言わせたつもりです。わかりにくかったならすみません！ (2019年7月17日 22時) (レス) id: cdce025386 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜ナイフ - 何故零は『お帰り』と言ったのですか？すみません僕、理解力が無くて…教えてくれると嬉しいです。 (2019年7月17日 22時) (レス) id: e71f9e4ab9 (このIDを非表示/違反報告)
水花月(プロフ) - 素敵すぎて一気に読んでしまいました。素敵なお話をありがとうございました！そして思わず筆がすすむほどに千景君に惚れました…魅力的な主人公でした(^^) (2019年2月22日 18時) (レス) id: 2c88131c0b (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 完結おめでとうございます！結末が予想外でびっくりしました。これからも他の作品を拝読させていただきます、ありがとうございました。 (2019年1月31日 9時) (レス) id: bc5dc7d709 (このIDを非表示/違反報告)
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