4呪目:石吐病 ページ6
軽音部部室... 千景side
『あの、零さま?あれは一体なにをなさっているのですか...?』
命令通りに転校生さまを軽音部部室へと送り届けた後、行われはじめたのがこれだ
詳しく説明しますと転校生さま...あんずさまにいかにも女性が着るようなかわいらしい洋服を着せ、葵兄弟のお二人とともに歌とダンスをさせているのです。もうかれこれ十五分ほど
零「見ての通り品定めじゃよ。嬢ちゃんがどこまでの存在か、知っておく必要があるからの」
『はぁ...零さまがそうおっしゃるならなにも言うことはありませんが...』
零「が、なんじゃ?言ってみよ千景。お主は唯々諾々と従うだけの人形ではないじゃろう?」
探るような赤い瞳に一瞬ひやりとしたものが流れましたがそう言われてしまった以上口にするしかありませんね
『では一つだけ...なぜ大神さまは縛り上げられて猿轡を噛まされて部屋の隅に転がされているですか?』←
零「おっとそこかの?」
『転校生さまに関しては個人で納得していますので、とくに申し上げることもありません』
というか先程から呻き声がすごくて気になって気になってしょうがなかったんですよえぇ
零「ククク...相変わらずじゃのお主は。そうそうわんこのことじゃがの、昨日のドリフェスの件で謝れと言うとるのに「絶対に謝るのは嫌だ」と喚くものじゃから...」
『「謝罪もできない口はいらない」とご判断してあの処置をと...手厳しいですね、ゴホッゲホッ!』
話の途中で苦しくなり咳き込めば、口の中から出てきたのは青いターコイズと黄緑のダイヤオプサイド...ここ最近は、出て来なかったというのに
零「...千景、寄越せ」
『はい...』
手の平に収まるほどの量しかない宝石たちを零さまに差し出せば、彼はそれらを空き瓶の中に静かに流し込み、蓋を閉めてポケットに入れました
.....これが、私の病。「石吐病」です
なんの前触れもなしに、咳き込むと同時に宝石が吐き出されるこの病は現代では治療法すら解明されていない奇病の一種
零さまはずっと治療法を探してくださっているのです...吐き出した宝石も、「なにかヒントになるかもしれない」と集めて
零「必ず治す方法を見つけるからの。諦めるでないぞ」
『...はい、ありがとうございます。零さま』
あぁ零さま...そんな風に思ってくれていることが嬉しくて嬉しくて
...いっそ治らなければと思う私を、どうかバカだと言ってください
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ぬん(プロフ) - 世界観がとても好きです。更新楽しみにしています! (2019年1月6日 23時) (レス) id: bc5dc7d709 (このIDを非表示/違反報告)
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