5歩目:名前 ページ7
時雨side
ペチッ ペチッ
『ん...?』パチッ
なにかに叩かれている感覚に目を開ければ昨日の子どもが俺のほほに手を置いてじっと見ていた
...あぁ昨日そのまま寝落ちしたのか
「?...あ〜」
ムクッ
『あ〜まぁ環境が変われば驚きもするか...』
これまでの混擬土の無機質な建物から、いきなり古い木でできた建物だもんな...
ずり落ちてた俺の着物を着せ直し、俺はなるべくわかりやすくいまの状況について説明した
子どもは頭に疑問符を浮かべていたがとりあえず「自由」ということだけはわかったらしい
「ん〜?」
『ん?』
子どもは俺を指さして首をかしげた...あ、俺が誰かってことか?
『俺は時雨、よろしくな』
「?い、うえ?」
『ちがう、しーぐーれ』
「...しーうーれ?」
...濁音が難しいのか?じゃあ名前じゃなくて別の言い方...でも俺見た目が父親ってほどじゃないし...兄貴かな?それが一番かもしれん、前に聞いたやつがたしか...
『...にぃに、言ってみ?』
「...い〜?」
『にぃに』
「に〜ぃ?」
惜しいところまで俺の名前を言っていたし、頭がいいのだろう
「にぃに」
何度か言うとすぐに言えるようにようになった
『そう、えらいぞ』
「...ん」
「よくできました」って意味で頭を撫でれば猫のように目を細めた
あぁそうだ。名前を教えないと。いつまでも「検体112」はかわいそうだしこっちも気分が悪い
『お前は、「泉」だ。い、ず、み』
泉「?...い、うい?」
...やっぱ濁音か、難しいのは
『い、ず、み』
泉「...いうみ」
う〜ん惜しいな...あ、そうだ
『泉、お前には俺の名字をあげる』
人間の世界で暮らす妖怪たちは、名字なんて持っていないから考える必要がある
俺も何度か考えたことがある。事実それで暮らしているやつらもいるしな
『俺は「瀬名」。お前は今日から、「瀬名泉」だよ』
泉「...え〜、な...せな」
これは言えるんかい!
27人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Hikaひかり(プロフ) - かっちゃんおひさーわいわい雑談の方にコメントしたからみてちょ♪ (2017年12月30日 18時) (レス) id: 16a9728f09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ