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あれからというもの、任務が入って現地に行っても動悸が止まらず、役に立つことなんてなかった。補佐なんて所では無い、これではただの見学者だ。

あれほど気にしていないと思っていたのに、いざ任務になるとフラッシュバックが起こり、頭の中で何度も私と粟井さんが呪霊に飛ばされる。

「…気持ち悪」

任務が終わるとあまりの気持ち悪さに自分の部屋まで行くこともできずに、しゃがみ込んでしまう。

「傑ー、またこいつここで置き物になってんだけどー」

「直ぐに行く」

五条がそんな私を見かけると大声を出して傑を呼ぶ。直ぐに足音が聞こえてきてその音が私に近づく。

「お疲れ様、よく頑張ったね。」

そして何もできなかった私に、優しく声をかけるのだ。

「部屋に戻ろう」

傑は丁寧に私の身体をぎゅうと抱きしめて、そのまま宙へ浮かせる。私への配慮をして歩く時に揺れないようにしてくれる。

これは初めてではなかった。私が任務へ行く度にこのような感じで、傑は嫌な顔もせずに私と向き合ってくれた。迷惑だと言えば良いのに。

「…もう術師向いてない」

「そんなこと言わないでくれ、ほら着いたよ。」

傑は私の弱音も毎度の如く上手くかわして、私をベッドの上に座らせると傑は隣に腰をかける。

何も言わず、何も聞かず、ただ隣にいてくれる。

「どうしてこんなことまでしてくれるの」

「私がそうしたいからさ」

未だ顔を伏せたまま、術師としても人としても惨めな私に、まだ優しい言葉をかける彼。

どう考えても、私と彼では不釣り合いなのだ。

私は自分が思っていた以上に頭が悪く、そして何より弱かった。弱さゆえに重たいひとつの命が呆気なくこぼれ落ちた。

「…こんな私のどこが良いの」

「そうだな…人の幸せを誰よりも願っているところが好きだよ。

それだけじゃない、君の笑顔は知らず間にこちらまで気持ちをあたたかくする。特別な存在だよ。」

違う、全然。

私は自分の都合の良いことを優先にして、他人のことなんて考えられない欲望に忠実で自分勝手な生々しい人間。

粟井さんが亡くなったのは誰が何と言おうと私の責任だし、私が勝手にこんな屍のようになっているのは勘違いも甚だしい。私が一番辛いわけがないのだ。

私が起こした事態を、勝手に苦しんで、誰かに助けを求めている。自分勝手もいいところだ。

「やっぱり別れたい」

私は傑が思うより、善人じゃないんだ。

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rix(プロフ) - 尊さん» お待たせ致しました!只今公開致しました〜!!犬小屋から出てきてくださ〜〜い!!!!お家に帰りますよー!! (2021年3月27日 9時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- rixさん» なぬ、神様の作品なら絶対読みます!犬小屋で地団駄踏んで待ってます! (2021年3月24日 17時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - 尊さん» コメントありがとうございます!わー!そう言っていただけると嬉しいです(;;)休日に新作出すと思うので是非そちらもお読みいただけると嬉しいです笑 (2021年3月24日 17時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- めちゃくちゃ感動しました!あなたは神作の神様だったですね、一生崇拝します (2021年3月24日 14時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!よかったです!!笑自信結構なかったのでそう言っていただけると嬉しいです!! (2021年3月22日 13時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rix @元荼毘 | 作成日時:2021年2月28日 14時

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