Ep.23 ページ24
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『───・・・懐かし、』
もう2年ほど前のこと。
「なにがだ?」
『智司が助けに来てくれたときのこと思い出してた』
「・・・あぁ、」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる智司。
『本ッ当、感謝してもしきれない。
智司が来てくれなきゃ死んでた。
本当にありがとね』
「礼はもう聞き飽きた」
何度言っても足りないの。
『・・・ねぇ、』
「なんだ?」
『未だに教えてもらったことないんだけど、
なんであのとき助けに来てくれたの?
まだあの頃ってお互いのこと知らなかったよね』
“ 同学年に強い奴がいる ” 程度の噂は知ってたけど。
「・・・たまたま通りかかっただけだ」
『ほんとに?』
「本当だ」
いいから行くぞ、と言った智司は、真っ直ぐ前を見据えて立ち止まった。
『・・・・・・・・・あ゙ッ』
数メートル先に、金髪パーマ。
隣には理子がいて、なにやらぎゃいぎゃい揉めている。
まだ私達には気付いていない。
『智司、』
「・・・」
あ、ダメだ完全にロックオンしてる。
『智司ってば』
『ちょっと』
『ねえ』
『さと・・・、』
「あ、Aッ!・・・えぇぇえ!?!?」
・・・あ、終わった。
私に気付いて、手を振って駆け寄ってきた理子が飛び上がって三橋くんの後ろに隠れた。
三橋くんは三橋くんで、顔を真っ青にして冷や汗を流してる。
「・・・てめぇ」
一歩踏み出して三橋くんに近付こうとした智司の腕を掴んだ。
「離せ」
『だめ』
「離せっつってんだろ」
『だめだってば』
今ここで殴り合いが始まったら、
智司も三橋くんもまわりが見えなくなる。
しかも街のド真ん中。
通行人に怖い思いさせることになるし、
なにより理子を巻き込むことになる。
それだけは絶対に避けたい。
「開久と軟高の問題にも口出すのか?」
『そうじゃなくって。
理子がいるからだめだって言ってるの。
三橋くんならあとでいくらでも追っかけまわせばいいから』
「Aちゃんんん!?」
そこは助けてよ!、と半泣きで訴えてくる三橋くん。
『今日は見逃して。お願い』
だから今のうち逃げて、と三橋くんと理子にアイコンタクト。
瞬間、理子の手を引いて脱兎の如く走り去った三橋くん。
「・・・・・・チッ」
『・・・ごめん。
理子を巻き込みたくなかったから、』
「次逃がさなきゃいいだけの話だ」
『うん、ありがと』
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くま(プロフ) - 面白いです!あの少年との絡みが気になるんですけど、続きってないんですか? (2022年7月13日 23時) (レス) @page33 id: 65408d9878 (このIDを非表示/違反報告)
のて - 今井さんオチがいいです!これからも応援してます! (2020年9月6日 22時) (レス) id: 33a7fd7eb5 (このIDを非表示/違反報告)
Julia(プロフ) - うっ!よき!あのできれば片桐くんオチでお願いします………続き待ってます (2020年8月19日 13時) (レス) id: 15ac95c4ae (このIDを非表示/違反報告)
アミ(プロフ) - 私的には片桐くんオチがいいです。更新止まってるけどすごく面白いので続き楽しみにしてます! (2019年8月30日 14時) (レス) id: f2af3865a5 (このIDを非表示/違反報告)
ちはな(プロフ) - 今井さんオチがいいです!!お願いします!!私今井さんのこと大好きなので!!この作品ほんとに面白いです!!更新楽しみにしてます ! (2019年4月18日 19時) (レス) id: 761b774a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぃも | 作成日時:2019年3月26日 11時