馬鹿と単細胞。

Ep.５ ページ7

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最悪だぁ、と頭を抱える今井くん。

私も彼とは違う理由だけど、頭を抱えたいのは同じ。




「え、誰誰？」

「･･･片桐智司。
中坊ンとき、チンピラ何人も病院送りにしたっていう、」

「うっわそれヤベェ奴じゃん。
てか見るからに強そうじゃん。
んでAちゃんどしたー？」




全力で今井くんと三橋くんの影に隠れたけれど、奴には絶対バレている。
そして三橋くんに名前を呼ばれてしまったからには、もう逃げられない。




『･･･ひさしぶり、だね？』

「･･･お前」




そっと2人の影から出た。

相変わらずでっかいな。どこまで成長するのよ。




「え、何知り合い？」

『中学の頃の同級生』




付き合ってました、なんて口が裂けても言えない。
そしてその “チンピラ病院送り伝説” も私が原因です、なんて尚更言えるわけがない。




「･･･チッ、
相良やったのどいつだ？」




ひぃぃいん怖いです！！
やっぱりコイツ怖いです！




「･･･相良って？」

「そいつだ」




智司が雑に顎で示したのは、三橋くんが飛び蹴りをかましたイケメン銀髪野郎。




「･･･俺だ」




名乗り出ようとした三橋くんを制して口を開いた今井くん。
･･･もしかして囮になろうとしてくれてるの？

･･･いくら今井くんでも無理だよ。




「何言ってんだよ、俺だよソイツやったの」




空気読めや馬鹿！！

今井くんも同じことを思ったのだろう、血まみれで三橋くんを睨んでいる。とっても睨んでいる。




「お前自分が強ェみたいな嘘ついてんじゃねェよ」

「いや、俺は強いんだ！！
けど後ろから急にコイツが、割としっかりした木材で殴ってきたから･･･！」

「だけどな、だけどなァ！？
コイツにやられたのには変わりねェじゃねーか！」

「アレがなければやられませんでしたァ〜」

「はいそんなのわかりません〜」

「わからないのは、アナタが馬鹿だからですぅ〜」

「はい馬鹿って言った方が馬鹿、完ッ全馬鹿、そっちのが馬鹿〜。
はい見てみましょ、じゃあ見てみましょ〜！」

「はい検証〜。検証してみましょ〜！」




ど っ ち も 馬 鹿 だ よ ！！！


今だけは、今だけは智司に心の底から同情した。




「おいテメェらうるせェよ」




それでも2人は止まらない。

「はいここにこれがありますぅ」「知ってますぅ」なんて会話を繰り広げている。恥ずかしすぎる。




「おいうるせぇっつってんだろ！！」

「どぉぉおん！！」







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