馬鹿と単細胞。

Ep.６ ページ8

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やばい、と思ったときには遅かった。



三橋くんの拳はかなりのスピードで智司の頬に叩き込まれた───はずなのに。




「泣き入れろ。今なら半殺しで勘弁してやる」




さすが、というか。

前よりもさらに強くなってる、間違いなく。


だって三橋くん、かなり本気でやったよね。
なのに智司はふらつかないどころか表情も変わらない。




( ･･･嘘でしょ、 )




殺される。

本当にそう思った。




「あッ、お巡りさんだ〜ッ！」




ツッパリの習性だろうか。
その場にいた全員が振り返った。･･･もちろん私も。


背後で足音が聞こえ、振り返った時には既に金髪は数メートル先にいて。




( マジかあの金髪！！ )




今井くんの手を引き、全力で走った。

無我夢中とはまさにこのこと。


後ろから追いかけてくるグレーの集団の怖いこと怖いこと。


商店街を抜けたところで、三橋くん共々待ち伏せてた開久に囲まれた。




( ───あ、これ、死んだ )




もう抵抗するのやめよう。

無理だコレ、もうだめだ。




「Aさん逃げろ！！」

『ッ、！！』




どん、と強めの力で背中を押され、とっさに振り返ると今井くんが追いかけてこようとする開久の生徒の制服を掴んでた。




「Aちゃん！逃げろって！！」




三橋くんまで。

でも、逃げられないことはわかってるから。


覚悟を決めて拳を構えたとき、お巡りさんが追っかけてくるのが見えた。




『お、お巡りさん来てる！！』




我ながら馬鹿みたいな発言である。


けれどもそれは、確実に効いたようで。

私達を囲んでた開久生をたった一言で失せさせた智司は、やっぱり本物。


去り際に一瞬だけあった目は、ニヤリと歪められて。




( ･･････何考えてんだろ、ほんとに )




もう別れたじゃん、私達。




「バカお前！！サツ追いかけてきてんぞ！！」

『わぁぁあマジか！！』




油断していたら、私達3人を追いかけてきていたお巡りさん。

捕まりたくない！！絶対に！！






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