人 質 【4】

Ep.１５８ ページ17

side Usami





「───ねぇ、さくらは･･･？」




さっきから、さくらの姿を見ない。


Aは体調が悪いからと、美術室で寝てるってぶっきーから聞いたけど。

･･･もしかして、さくらはAの傍にいるのかな。




「トイレじゃない？
･･･それより皆、どうする？」

「どうもこうもないでしょ？
私達は裏切られたんだよ･･･！」




未来の言葉に、皆が口を開いた。




「景山は！･･･フェイク動画の犯人に会いに行くって言ってたんだよな？
･･･ならフェイク動画を作ったのも、先生なのかな」

「それは違うんじゃない？武智もそこは認めてたじゃん、」

「景山さんを、自 殺に見せかけて殺したっていうのは･･･」

「その可能性はまだ残ってるってことだよな･･･」

「･･･ぶっきーが、人殺し･･･？」




嘘だよ。そんなのありえない。




「･･･ねぇ、そしたらAはどうなるの･･･？」




もし、もしも。

本当にぶっきーが澪奈を、手にかけていたのなら。

Aは弄ばれてたってことになる。


ないよね、ない絶対にない。

ぶっきーは本当に、Aに惚れてる。

でなきゃあんな表情できないよ。


人を殺した人間が、あんな説教できないよ。




「最初から最後までぶっきーのこと信じてたのに、」

「Aちゃん、まだマイボイで色々言われてる･･･」




澪奈と同じ目に、遭うかもしれない。




「･･･ックソ！！」




甲斐が乱暴に机を蹴った。


甲斐も、Aのことが好きなんだ。

このクラスにはきっと、Aに惚れてる男子が少なからずいる。
甲斐みたいにわかりやすい奴も、須永みたいに素直になれない奴も。


男子だけじゃない。

私達だって、ていうかきっと、このクラスの皆がAのことが大好きで。


だからこそ、この状況に戸惑いを隠せなくて。


未だ戻ってこないAにこのことを伝えるべきなのか、なにがベストなのか。

ちゃんと考えないといけない。


でも正直、今はなによりもAが心配で。





─────ガラガラ･･･




突然、教室のドアがゆっくり開いた。



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